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更新日 : 14/11/04

クレーム対応の秘訣⑩家賃値下げ請求

弁護士 石川貞行

賃料値下げを求めるテナントが増加している

厳密に言うと「クレーム」ではありませんが、ここ数年、店舗賃借人からの家賃値下げ請求が続いています。
特に飲食店関係が多いですが、他にも衣料品店から遊技場、理髪店などがあります。
値下げ請求の主な理由は「消費の低迷よる収入の低下」ですが、チェーン店や大型店の進出に押されて売上げが減少というケースもあります。
家主としては、賃借人からの値下げ請求に対して「〇年ごとに賃料を改定する」「〇年〇月までは据置く」という特約を契約書に設け、それに則って値下げに応じないという選択もありますが賃貸経営上どう対処するのが得策でしょうか。

賃料値下げを拒否するとどうなるのか?

そこでまず、借地借家法の原則を確認しますと、同法第32条には「建物の借賃が、土地もしくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地もしくは建物の価格の上昇もしくは低下その他の経済事情の変動により、または近隣同種の建物の借賃に比較して不相当となった時は、契約条件にかかわらず、当事者は、将来に向けて建物の借賃の額の増減を請求することができる」と定められております。
経営不振(売上げ減少)は賃借人にとっては大きな経済事情の変動ですが、主観的・個人的な事情は、同条項で言う「経済事情の変動」には該当しません。
したがって単に経営不振というだけであれば家主は値下げ請求を拒否しても法的には何ら問題はありません。
しかし、賃借人は経営が成り立たないことを理由に経費である賃料を下げてほしいというのですから、値下げを拒否すると賃料滞納が始まり、解約(店閉まい)、解除(明渡し請求)という事態になりかねません。
そうなると、明渡し後の店舗をリフォームし、次の入居者を募集する期間の賃料逸失は多額になります。

賢明かつ円満な解決方法とは?

家主としては先を読んで賃料値下げの全部または一部に応じ、示談することも賢明かつ円満な解決方法となります。
一方、不良賃借人の場合は値下げを拒否し、契約の解約・解除に持ち込むチャンスでもあります。
参考として、家主側の対処と結果の事例を2つご紹介します。
事例①賃借人(飲食店)の値下げ請求により、月22万円→ 20万→ 17万円への値下げに応じたが、15万円の値下げは拒否。その結果お店がやっていけなくなり、解約し閉店。その後、リフォームに250万円をかけ、15万円で募集したが入居者は決まらず、「値下げの談合に応じておけばよかった」と後悔。

事例②賃借人(飲食店)の値下げ請求、月17万円→ 13万円に対して、1年毎に見直す条件で値下げを合意。現在盛況で、賃料を月15万円に持ち直し、双方納得。
賃借人の家賃値下げ請求をどう判断し対処するのが得策かは場合によって異なります。
あなたならどうしますか? 賃借人の状況をよく見て判断をし賢明な選択をしてください。

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プロフィール

いしかわ・さだゆき 1940年、愛知県生まれ。1972年、中京法律事務所開設。『借家トラブル解決文例集』『家主・法律実務家・仲介業者のための 借家トラブル解決マニュアル』『家賃滞納トラブル解決マニュアル』ほか多数。趣味関連の著書に『名古屋周辺からの釣り船・船宿ガイド』がある。

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