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入居者トラブル
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更新日 : 14/09/10

クレーム対応の秘訣⑦「防犯カメラの設置」をめぐるトラブル

弁護士 石川貞行

防犯カメラ設置のルールは、確立されていない

最近は、防犯対策として防犯ビデオカメラ(監視カメラ)が普及し、金融機関や商業用店舗、不動産賃貸業者のような事業者だけでなく、個人でも容易に購入し設置できるようになっています。
防犯カメラは、基本的には犯罪(主として窃盗)防止・発見を目的として、社会生活の公益のために設置されるものです。
しかし、その一方で撮影される側の肖像権やプライバシーの権利を侵害する側面があります。
にもかかわらず、使用目的や設置の位置・方法、撮影画像の管理、第三者への画像開示などについて明確なルールが定められていないのが実情です。

「公表すべき公益性」か「プライバシーの権利」か?

過去において、防犯カメラの設置および画像使用により、個人の権利侵害および損害賠償請求を巡って争われた判例が2件あります。
判決では、撮影画像を「公表すべき公益性」と「公表されるべきでない肖像権」「プライバシーの権利」を比較した上で、社会生活上の受忍限度を超えなければ違法にならないと判断しています。
(不法性について判例のうち1件は肯定、1件は否定)。
また、共同住宅におけるトラブルで、ゴミ捨てなどのトラブル解決を目的として、証拠確認(行動監視、行為確認など)のために防犯カメラを設置し結果的に訴訟となった判例が2つあります。
その争いは泥仕合の様相を呈したといいますが、いずれの裁判でも撮影された人の「個人的権利の侵害」が認められ、防犯カメラ設置者に損害賠償の支払いを命じています。
ちなみに、どのようなケースであれ、何の公益性もない防犯カメラは、「違法な監視カメラ」と判断され、法的に撤去請求が認められます。

マンション住人による、代表的なクレームは・・・・

「防犯カメラ設置」に関する代表的なクレームには、こんな例があります。
車上狙い防止の目的で設置されたマンション駐車場の防犯カメラに対し、無差別に撮影されるとして一部の居住者から寄せられるクレームです。
このような場合は設置の目的、映像管理方法をよく説明し、設置場所も話し合って決め「設置は居住者の利益のため」という同意を得て解決すべきです。

個人的な目的で設置した場合は、撤去を請求すべき

家主に無断で借主が自室に防犯カメラを設置しトラブルになった例もいくつかあります。
例えば、借主が不良入居者(暴力団関係者など)、また不良入居者の出入りを監視するため、自己防衛目的で設置したケースです。
もちろん個人的な目的での設置は禁止し、設置した場合は撤去請求をすべきです。
しかし、過去の例では「無断で防犯カメラを設置してはならない」という特約が明記されていなかったために、法的に撤去請求をするためには「他の居住者の肖像権、プライバシーの権利を侵害するから」という理由づけをしなければなりませんでした。
契約時には、特約の片隅に「防犯カメラ無断設置禁止」の条項を入れておきたいものです。

リンク

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プロフィール

いしかわ・さだゆき 1940年、愛知県生まれ。1972年、中京法律事務所開設。『家主・法律実務家・仲介業者のための借家トラブル解決マニュアル』『借家トラブル解決文例集』『家賃滞納トラブル解決マニュアル』ほか多数。趣味関連の著書に『名古屋周辺からの釣り船・船宿ガイド』がある。

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