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入居者トラブル
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更新日 : 14/09/10

クレーム対応の秘訣④漏水のトラブル

弁護士 石川貞行

最も多い「水回りのトラブル」

ある統計によると、共同住宅に関するトラブルの半数以上は、漏水など水回りに関するものとなっています。
漏水の被害が階下に及ぶと一大事となり、近隣トラブルに発展しますので、家主(管理会社)としてはクレームが発生すると迅速、かつ適切な対応を心がけなければなりません。
漏水事故の原因は大別すると、①入居者の過失による場合(蛇口の締め忘れ、排水口の詰まり、給排水ホースが外れるなど)、②給排水設備の瑕疵(かし)による場合(給排水管の腐食・折損、外壁の防水加工の不良など)、③業者のミスによる場合(開栓時の漏水確認ミス、電気温水器の点検ミスなど)があります。

損害賠償の責任を負うのは、家主か入居者か?

では、損害賠償責任はだれが負うのか、ケースごとに見ていきましょう。
入居者の過失による場合は、故意または過失によって他人の権利を侵害したものとして、入居者が不法行為責任(民法709条)を負います。
給排水設備の瑕疵による場合は、その設備が建物の一部分であることから、「土地の工作物責任」が発生します(民法717条)。
すなわち、土地の工作物の設置または保存の瑕疵によって他人に損害を与えた場合、㋑工作物の占有者(入居者)に過失があれば占有者が、㋺占有者に過失がなければ所有者(家主)が責任を負うことになります。
たとえば、共同住宅の一室で洗濯機の給水管が外れ、水が長時間流れっ放しとなって他室に損害を与えると、入居者が責任を負います。
しかし、配管不良による水漏れの場合は、家主の無過失責任となります。
ちなみに区分所有物(分譲マンション)では、建物の設置または保存上の瑕疵によって損害が生じた場合「共用部分に瑕疵があると推定する」という特別の定めがあります(区分所有法9条)。

漏水の場合、損害賠償の範囲はどうなる?

さて漏水の原因と責任者が判明したとして、漏水による損害賠償の範囲はどうなるでしょうか?

●家具などの物的損害は・・・・
新品価額ではなく「経年劣化による自己時の評価」によって算出され、被害者が修繕を遅延させたことで生じた損失は賠償額から減額されます。

●漏水の場合は・・・・
部屋の一部が一時的に使用できないケースは、それに該当する分の損害賠償請求が認められ、長時間使用できない場合は賃料の減額請求(民法611条)も考えられます。
なお、修繕のために仮住居に住んだ場合は宿泊費用も損害として請求できます。

万一に備えて、家主も入居者も損害保険に加入を

漏水事故は思わぬ時に発生し、高額の出費を伴うことが少なくありません。
万一の時に備えて、家主と入居者双方ともに損害賠償保険に加入しておくことが必要です。
施設賠償保険、住宅総合保険、個人賠償保険など多様な保険がありますので、オーナー個々の状況に合わせて選択してください。
加入する際にはどのような事故に対して保険が下りるのか、よく確認し理解しておくことが大切です。

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プロフィール

いしかわ・さだゆき 1940年、愛知県生まれ。1972年、中京法律事務所開設。『家主・法律実務家・仲介業者のための借家トラブル解決マニュアル』『借家トラブル解決文例集』『家賃滞納トラブル解決マニュアル』ほか多数。趣味関連の著書に『名古屋周辺からの釣り船・船宿ガイド』がある。

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