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相続・税金
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更新日 : 14/09/01

資産を活かす「税務マネージメント」③法人化のメリット

税理士・中小企業診断士 飯塚美幸

事例6.法人化と所得分散—所得の分散で、所得税の圧縮が可能に

女性不動産オーナーのF様は、数棟のアパート・マンションを経営していますが、所得が一人に集中し税率たるや所得税40%+住民税10%+事業税5% = 合計55%。
平成25年からは復興増税でさらに増税となりました。
また、後継者はお嬢様ばかりで財産防衛に不安が募ります。
そこで対策を立てました。
まずサブリース会社を設立→所有物件を一括貸し→外部に賃貸という方式に切り替えました。
これなら契約上、個人が表に立つ必要がありません。
法人化する場合は以下に留意する必要があります。
管理会社(オーナーは管理料を支払う)では認められる管理料は低廉で税務上の効果はあまり出ません。
サブリース会社なら、法人として入居者と賃貸契約を結びますから、管理会社よりも多めに法人への所得分散が可能です。

相続財産の増加も抑制

一方、同族法人の株主は後継者、代表取締役はオーナー様ご自身、ご親族に
役割分担した上で役員にして役員報酬を支給。
こうして税率の低い法人に利益を残し税率の高い個人の所得をコントロールすると、会社が成長して資産が殖えても株主である後継者のものとなりますので、
相続財産の増加を抑えられます。
さらに一括貸しは空室満室に関係なく建物土地の評価は「貸家」と「貸家建付地」となり、減額できるため相続税の点でも安心です。

事例7.資産法人化のメリット—所得税と相続税を同時に圧縮する

Y様は赤字続きだった管理会社をサブリース会社に切り替えました。
そして黒字になったのを機に、資産所有法人に切り替えました。黒字法人なら借入付き建物の法人移転が可能となりメリットが生じます。
(赤字会社では、金融機関は借替えを認めてくれません)
ご自身が株主のY様は赤字のうちに後継者に株式を先行贈与し、贈与税が
ゼロになるようにしました。
この後、建物を法人に売却すれば譲渡税はゼロ。
法人には賃料100%が入り、Y様は土地貸主として固定資産税の2倍程度の地代を受け取ります。資産法人にした後、役員報酬は後継者様とY様が受け取ります。
将来の相続時には退職金を納税原資にできます。

土地は「無償返還賃貸借契約」に

ただし、土地に関しては法人が借地権課税をされないように「無償返還賃貸借契約」として、税務署に「無償返還届出書」を提出します。
これで土地は貸家建付地とほぼ同じの8割評価となるのです。

事例8.同族法人の利用法—不良資産を同族会社に売却ー後継者が開発に着手

Eさんは昔からの地主で市街地山林や河川敷の土地など、評価が高く収益のない
資産を多く保有しています。
これら山林などに、そのまま3億円の相続税路線価評価を受けると1億5000万円も相続税がかかります。
しかし、外部に売却するのはご先祖様に申し訳ないと保有し続けてきました。
これらの資産の鑑定評価を取るとなんと、わずか2000万円でした。
後継者様が、同族会社に鑑定額で売却しようと説得し、E様も自分の同族会社ならと承諾。
Eさんは同族会社から2000万円を受け取り、相続税は1000万円に圧縮されました。
さて法人所有となった市街地山林は後継者様が開発を検討。その一部を
分譲地にし、売却する計画に取りかかりました。
E様は反対したでしょうか。
いえいえ、目を細めて後継者Fさんたちの経営手腕に期待し楽しみながら見守っています。
法人化して財産を発展させる典型例となりました。

生き生きと収益を生み、家族の笑顔を生む資産に

相続税の「節税」の名のもとに、財産価値の引き下げをしているケースが多いようです。
しかし、生き生きと収益を生む資産、家族の笑顔を生む価値の高い資産こそが、後継者に喜ばれる資産です。
問題を一つ一つていねいに解決して資産を守り、困った資産から嬉しい資産へと発展成長させていきましょう。

※リンク
資産を活かす「税務マネージメント」
その①共有・組換え・アパートの相続対策
その②遺言書作成のポイント
その③法人化のメリット

(プロフィール)
いいづか・みゆき
静岡生まれ。静岡大学人文学部卒業。平成7年エクスプレス・タックス(株)飯塚美幸税理士事務所設立後、税理士法人タクトコンサルティングパートナーを経て、平成25年、松木飯塚税理士法人設立、代表社員に就任。資産税関係のコンサルティングを中心業務とする。事業承継協議会会員、千代田区議会政務調査諮問委員、不動産コンサルティング登録技能士試験委員、東京家庭裁判所成年後見人登録員。著書『財産を殖やす相続対策プログラム』『よくわかる税制改正と実務の徹底対策』『小規模宅地特例—実務で迷いがちな複雑・難解事例の適用判断』、『税理士のための相続税の実務Q6A—贈与税の各種特例』ほか多数。

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