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入居者トラブル
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更新日 : 15/01/26

「高齢者入居トラブル」の対策と特約の有効性

弁護士法人法律事務所オーセンス
代表弁護士 元榮 太一郎

「高齢者が契約当事者」の場合の注意点とは?

賃貸人と賃借人のいずれか、もしくは両方が認知症の場合、必ずしも契約が無効となるわけではありません。
無効になるのは、賃貸人および賃借人が契約の際に意思能力がなかったと認められた場合です。

●契約書が無効になるのは、当事者に意志能力がない場合
そもそも、契約の締結は、当事者に意思能力があることが必要です。
意思能力とは、有効に意思表示をする能力のことで、子供でいえば6歳から7歳程度の能力が備わっていることが求められます。
もっとも、意思能力の有無は一律に判断されるものではなく、契約の内容・性質に応じて判断されます。
例えば、コンビニでお弁当を買う場合と、不動産の賃貸借契約を締結する場合とでは、求められる意思能力に当然差があり、後者のほうが意思能力なしと判断される可能性は高くなります。

●「安否確認」の立ち入りの合法性について
賃貸借契約書には、「賃借人の安否が確認できない場合、賃貸人は安否確認のために立ち入ることができる」旨の特約条項が定められていることがあります。
しかし、緊急性が高いとはいえない状況下で、この特約だけを根拠に室内に立ち入った場合は違法とされる可能性が高く、民事・刑事の法的責任を追及される可能性があります。
異臭等もなく緊急性がそこまで高い状況とはいえない場合は、警察官立ち会いの上で、入ったほうが良いでしょう。

賃貸人が高齢になった場合のトラブル防止策

一方、住宅を借りる側でなく、賃貸人が高齢になった場合の対策を考えておくことも大切です。

①任意後見制度の活用
任意後見制度は、本人が精神上の障害により、物事を把握する能力が不十分な状況になった場合に備えて結ぶ委任契約です。
本人が意思能力を備えている段階で手続きができ、予防策として有効です。
任意後見制度を利用すれば、賃貸人の判断能力が低下した際、信頼している相手にき、トラブルを防ぐことができます。

②判断能力が低下する前に、賃貸人の地位の移転を
賃貸人の判断能力が低下する前に、親族等へ賃貸人の地位を移転(不動産の譲渡等)しておくことも有効な予防策です。
親族等に不動産管理を任せ、それらの者から賃料の一部を受領することで、トラブルを防止できるとともに、安定して賃料収入が得られるというメリットもあります。
今後は高齢者が契約の当事者となるケースが増えていきますので、その時になって慌てないように準備を心がけましょう。

※リンク
その①借主とのトラブル防止と特約の有効性について
その②リフォームにまつわるトラブル対策と特約の有効性
その③「高齢者入居トラブル」の対策と特約の有効性

(プロフィール)
もとえ・たいちろう 1998年、慶応義塾大学法学部卒業。翌年、司法試験合格。2005年、法律事務所オーセンス開設、代表を務める。年間1800件の明渡し訴訟解決実績をもつ。日本最大級の法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」を運営。第二東京弁護士会弁護士業務センター・副委員長。著作権法学会会員。『すぐに使える〔最新〕基本法律用語辞典』『すぐに役立つ 1人で出来る裁判・訴訟の手続きと書式サンプル64』他多数。

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