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入居者トラブル
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更新日 : 15/01/19

リフォームにまつわるトラブル対策と特約の有効性

弁護士法人法律事務所オーセンス
代表弁護士 元榮 太一郎

賃借人の無断リフォームと契約解除

時代の流れとともに、入居者とのトラブルも変化していきます。
最近話題になったトラブルの一つに、リフォームに関するものがあります。
賃借人は、賃貸目的物の性質に応じて、その用法を遵守して使用しなければならない義務を負っています(民法第616条、同法第594条第1項)。
居住用の場合、無断で大規模なリフォームをして、賃貸物件の性質を変えることは、用法遵守義務に違反し、かつ無断で行なったことにより賃貸人と賃借人との信頼関係は破壊されたと考えられます。
したがって、そのような場合、賃貸人は賃貸借契約を解除することが認められ、明渡しを求めることができます。

「カスタマイズ物件」は、改装可能な種類や範囲を明確に

最近は、賃借人にリフォームを認める「カスタマイズ物件」が注目され、カスタマイズを許可する大家さんも増える傾向にあります。
しかし、その範囲や程度をめぐってトラブルが起きています。
トラブル防止のためには、契約書や合意書などの書面で、許可するリフォームの種類や改装の範囲を明確に記載しておきましょう。

「必要費は借主負担」の特約は、小修繕の範囲なら有効

例えば、屋根が壊れて危険な状態にあったため、賃借人が屋根を修理した場合、賃借人はその費用を賃貸人に請求できるのでしょうか?
「必要費」とは通常、建物の現状を維持保存するため、あるいは原状回復に必要な費用のことで、賃貸人が負担します(民法第608条第1項)。
賃貸人が特約として「必要費は借主負担」と定めた場合は、小修繕にとどまる範囲に限って有効と考えられています。
したがって、屋根の修繕は小修繕に当たらない場合が多いといえますので、賃貸人が修繕費用を負担する必要があります。
ただし、屋根が壊れた原因が賃借人にある場合は、賃貸人が費用を負担する必要はありません。

新規契約の時点で注意しておきたいこと

ここで、賃貸借契約の機能と作成のポイントについて、あらためて確認しておきましょう。
リフォームにまつわるトラブル防止だけでなく、すべてのケースの入り口の問題として、賃貸借契約書をしっかり作成することが極めて重要なことです。

賃貸借契約書のチェックポイント 契約書の機能は、
①当事者間の合意内容を明確化する、
②書面化によって当事者が合意内容をよく検討する機会を持つ、
③合意内容の法律上の制限等の問題点を担当者以外の者も検討することができる、
などがあります。

賃貸借契約書の作成にあたっては、
①契約当事者、
②目的不動産、
③使用目的、
④賃料、
⑤期間、
⑥その他の契約条項等(特約)、
などが意向に沿うかどうかを必ず確認してください。
実際に賃貸借契約書を作成する際は、国土交通省住宅宅地審議会が作成した「賃貸住宅標準契約書」が参考になります。
国土交通省のホームページからダウンロードできます。

※リンク

その①借主とのトラブル防止と特約の有効性について
その②リフォームにまつわるトラブル対策と特約の有効性
その③「高齢者入居トラブル」の対策と特約の有効性

(プロフィール)

もとえ・たいちろう 1998年、慶応義塾大学法学部卒業。翌年、司法試験合格。2005年、法律事務所オーセンス開設、代表を務める。年間1800件の明渡し訴訟解決実績をもつ。日本最大級の法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」を運営。第二東京弁護士会弁護士業務センター・副委員長。著作権法学会会員。『すぐに使える〔最新〕基本法律用語辞典』『すぐに役立つ 1人で出来る裁判・訴訟の手続きと書式サンプル64』他多数。

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