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入居者トラブル
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更新日 : 15/01/13

借主とのトラブル防止と特約の有効性について

弁護士法人法律事務所オーセンス
代表弁護士 元榮 太一郎

特約と明記していても、認められないケースがある

入退去に際しては、とかく賃貸人と賃借人との間でトラブルが起こりがちです。
賃貸経営をスムーズに行なうためには、トラブルを未然に防ぐことが大切です。
最近ではリフォームに関するトラブルが話題になり、今後は高齢者が契約の当事者となるケースが増えるなど、時代の流れとともにトラブルの原因や種類も増加していきます。
では、どうすればトラブルを防止することができるのでしょうか。
特約を明記していても認められないケースもありますので、注意が必要です。
契約書の内容や特約の確認とともに、今後に備えて対策も講じておくことが大切です。

「ハウスクリーニング特約」が認められる必要条件とは?

トラブルが起きやすいもことの一つに、クリーニングに関する特約があります。
「賃借人は、退去時に賃貸人が指定する専門業者によるハウスクリーニング費用の全額を負担しなければならない」など、いわゆる「クリーニング特約」を定めていれば、そのまま認められるのでしょうか?
そもそもクリーニングは、通常、賃貸人が新しい賃借人に貸すための準備と考えられており、法律上、賃貸人負担が原則とされていますので、「賃借人に負担させるなら、その内容を具体的かつ明確に記載しなければならない」と考えられています。
また、賃貸借契約では、通常の使用で物件が劣化・汚損することは当然とされ、その対価は賃料に含まれると考えられています。
そのような考え方が前提になっているため、特約で「クリーニング費用は賃借人負担」と明記していても、費用の定めがなく包括的な記述のみでは、無効と判断されるケースが多いといえます。

●費用の目安も明記することがポイント

最近の裁判例では、クリーニング費用が明確で、かつその額も相当と認められる場合は、特約の効力を認める判断をしています。
したがって、賃貸人はクリーニング費用の特約を定める場合、条項に加えて「1㎡につき○○円」など、費用の目安も明記するのが良いでしょう。

賃借人が破産した場合、「契約解除の特約」は認められる?

賃貸借契約書に、「賃貸人は、賃借人について破産手続開始の申立てがされた場合は、直ちに賃貸借契約を解除できる」旨の特約を定められていることがあります。
最高裁は、このような特約は賃借人に不利なものであるから無効と判断しています(借地借家法30条)。
したがって、仮に特約を定めていても、賃借人の破産を理由に契約を解除することは認められません。
ただし、このような場合、賃料不払いとなるケースが多く、3カ月の滞納があれば信頼関係が破壊されたとして契約解除が認められます。法人の場合も同様です。

※リンク
その①借主とのトラブル防止と特約の有効性について
その②リフォームにまつわるトラブル対策と特約の有効性
その③「高齢者入居トラブル」の対策と特約の有効性

(プロフィール)
もとえ・たいちろう 1998年、慶応義塾大学法学部卒業。翌年、司法試験合格。2005年、法律事務所オーセンス開設、代表を務める。年間1800件の明渡し訴訟解決実績をもつ。日本最大級の法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」を運営。第二東京弁護士会弁護士業務センター・副委員長。著作権法学会会員。『すぐに使える〔最新〕基本法律用語辞典』『すぐに役立つ 1人で出来る裁判・訴訟の手続きと書式サンプル64』他多数。

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