高齢者が笑顔になるアパートづくり!②対策:フェイスシートの活用
賃貸オーナー 鈴木かずや
支援者と情報を共有する
若くて元気な方を受け入れるときとは異なり、高齢者の入居に際しては詳細な情報収集が不可欠です。その内容を支援者と共有することによって、入居者様が安心して日常生活を送ることができ、オーナー側のリスクも軽減できます。
●専門知識がないからこそ、情報が重要
以前、脳梗塞の後遺症で高次脳機能障害と診断された方から入居申し込みがありました。ソーシャルワーカーからの「入居は可能ですか?」との問い合わせに当初は困りました。
障がい名や疾患名を聞いても、素人の私にはどんな支援が必要なのか分からなかったからです。買い物には行けるのか、お風呂の浴槽は跨げるのかなど、まったく判断できません。
その体験から、必要な情報を整理するためのヒアリングシート「あんしん荘フェイスシート」を作成しました(文末の参考リスト参照)。
●支援者に記入してもらう
フェイスシートはオーナーが入居者様の生活環境を把握するために知っておきたい情報をA4一枚にまとめたものです。
本人ではなく、必ず支援者(ケアマネージャー、医療機関・施設のスタッフなど)に書いてもらいます。これは客観的な立場で状況を記載してもらうためです。
●空欄こそ重要!
空欄があると、そこは支援が「空白になっている」可能性が高い部分です。したがって、特に注意して記入者にヒアリングすることにしています。
このシートを作ることによって、支援体制を可視化できるので、受け入れに役立ちますし、家族や支援者にも安心していただける非常に有効なツールです。
場合によってはオーナー側から追加の支援内容を提案することもできます。
「フェイスシートの項目」参考例
◇緊急連絡先(氏名・続柄・連絡先)
◇日常生活で連絡を取る人(氏名・連絡先):家族、支援者、その他関係機関
◇現在の健康状態 :持病、判断能力など日常生活で配慮が必要なこと
◇所得状況 :給与、年金、その他の収入
◇介護・障がいの程度 :要介護認定(申請の有無、区分)、障がい等級・支援区分
◇介護サービス:利用回数、内容
◇生活状況 :駐車・駐輪場の要不要、帰宅時間、部屋の備品で不要なもの
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プロフィール 鈴木かずや すずき・かずや 1982年生まれ。茨城県土浦市の賃貸オーナー。自主管理で高齢者向けアパート「あんしん荘」を運営。高齢者や障がい者を受け入れるコツとノウハウに精通し、「全国賃貸住宅フェア2017 東京」では「リスクを抑え高齢者を受け入れるコツを伝授」のテーマで登壇。超高齢社会のなか、多くのオーナーから注目を集めている。共著に『多世代居住で利回り30%!高齢者向きアパート経営法』がある。