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更新日 : 18/10/15

H30年度税制改正とオーナーへの影響③相続税「小規模宅地特例」などの見直し

大家さん専門税理士 賃貸オーナー  渡邊浩滋

相続税「小規模宅地の特例」見直しの狙いとは?

◇「家なき子」の一部が特例の対象外に

「居住用の小規模宅地の特例」とは、被相続人が自宅として使用していた土地を相続する場合、評価額が80%減額される制度です。

今回の改正では、持ち家に住んでいない相続人(いわゆる「家なき子」)への適用範囲が狭まり、次の①②に該当する「家なき子」は特例の対象外となりました。

①相続開始前3年以内に3親等内の親族、または同族会社が所有する家に住んだことがある人。

②相続開始時に住んでいた家を、過去に所有していたことがある人。

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◇賃貸で特例が対象外になるケース

貸付用の小規模宅地(200㎡まで)は、評価額が50%減額される特例があります。改正前は、「相続人が賃貸を継続すること」を満たせば適用されました。

しかし今回の改正で、相続開始前3年以内に賃貸し始めた宅地は対象外となりました。ただし、次の①②の場合は特例を受けることができます。

①平成30年3月31日以前に賃貸を始めた宅地。

②被相続人が相続開始前3年を超えて、事業的規模(上記「事業的規模とは?」参照)で不動産貸付業を行っていた場合。

◇影響と対策 

昨今、相続直前にタワーマンションを購入して相続税を大幅に圧縮する、「タワマン節税」が盛んになりました。今回の改正は、この行き過ぎを抑えるため、相続前3年以内に賃貸物件を購入する動きを規制する目的があると言えます。

ただし、すでに事業的規模(※1)で賃貸経営されているオーナー様の場合は、購入時期にかかわらず特例の対象となりますので、改正の影響はありません。

(適用 平成30年4月1日から。 )

※1:「事業的規模」とは?

①アパートなど:独立した部屋数がおおむね10室以上

②戸建て:おおむね5棟以上

「一般社団法人の相続税」見直しへの対応は?

◇同族経営の場合は相続税の対象に

株式会社であれば、出資者は株式という財産を取得し、死亡時に保有していれば、その評価額に対して相続税がかかります。しかし、一般社団法人などは、そもそも出資持分(株式)という概念がないため、相続税がかかりませんでした。

今回の改正では、役員の過半数が同族であるなどの特定一般社団法人(下記※2「特定一般社団法人とは?」参照)の役員または相続開始前5年以内に役員だった人が死亡した場合には、その法人の純資産額を同族役員数で割った金額に対して、法人に相続税が課税されることになりました。

◇影響と対策

相続税を下げるために、役員を増やしたり、親族以外の他人を役員に入れる対策も考えられます。しかし、役員を増やすことで、議決権をコントロールできなくなったり、役員に親族以外を参入させることで、支配権を乗っ取られることも考えられます。それにより、上手く事業承継できず、財産を失うことになれば、本末転倒です。

節税よりもきちんと承継していくことを優先しましょう。

(適用: 平成30年4月1日から。ただし平成30年3月31日以前に設立された一般社団法人は、平成33年4月1日から。 )

※2:「特定一般社団法人」とは?

①相続開始の直前に、「総役員数に占める同族役員の割合」が2分の1を超えている

②相続開始前5年以内に、「総役員数に占める同族役員の割合が2分の1を超える期間」の合計が3年以上である。

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プロフィール  渡邊浩滋 わたなべ・こうじ 税理士・司法書士。明治大学法学部卒業。総合商社勤務を経て税理士となる。2008年、両親から危機的経営状態のアパート5棟86室を継ぎ、税理士業と並行して経営を立て直す。‘11年、独立開業。税理士・司法書士の強みを活かし、不動産のスペシャリストとして、また大家の視点から賃貸経営のアドバイスを行う。セミナー、講演多数。共著に「税理士が教える節税Q&A」「大家さんのための超簡単!青色申告」がある。http://www.w-sogo.jp/ http://ameblo.jp/zeirishiohya/(ブログ)

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