「大家が主役」の時代⑩入居面談のすすめ
リーシングコンサルタント 沖野 元
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私は自分の管理物件の入居希望者すべてを自ら面談しています。これにより、トラブルを起こしたり、滞納したりする人の入居を未然に防ぐようにしているのです。
不動産会社の社員時代も含めると、面談を始めて15年以上になります。今回はその経験で得た入居面談のコツについてお伝えします。
まずお伝えしたいのが、面談は面接とは違うということです。面接というと堅いイメージがあり、お客様は身構えてしまいます。面談は、もう少し軽くて柔らかいものですね。管理会社には軽い感じで「顔合わせ」して判断したいと伝えると良いでしょう。
面談のタイミングは、入居申込書を受け取った後になります。申込書だけで7~8割は判断できますので、面談は残りを埋めるものと考えてください。
場所は、不動産業者の店舗で行います。入居を断ることもあるので、自宅は適切ではありません。場合によっては物件で行っても構いません。
なぜ、引っ越し理由が大切なのか?
面談は入居申込書に沿って話を進めていきます。話の流れの中でさり気なく引っ越し理由を聞いてください。この時の答えや表情からわかることは少なくありません。
入居希望者が、近くから引っ越して来る場合は注意が必要です。滞納やトラブルを起こして転居する可能性もあるからです。転居理由が合理的かどうかや、表情の変化をしっかりと見極めなければなりません。
ただし、繰り返しますが、「面接」ではないので、相手を問い詰めるような口調にならないように気を付けましょう。直接会って面談ができない時は、入居希望者と電話で話してみるのもおすすめです。
声を聴くだけでも得られる情報は多いですし、電話での話し方からもある程度は判断できます。
結果を伝えるベストタイミング
面談をした結果、契約しても良いと思ったら、その場でOKを出し、営業担当者を交えて契約の日時や入居日を決めていきます。
一方、断る場合はその場で答えず、「帰って家の者と相談します」と返事をしておき、実際に自宅に戻ってから不動産業者に伝えます。
こうすることで、入居希望者とのトラブルも避けられ、かなりの確率で不良入居者を防ぐことができます。
外国人入居者の審査は、マナーの良さを第一に
入居面談は、外国人入居者を審査する場合には特に効果的です。重要なポイントは、多少日本語に難があっても、マナーがしっかりしていることです。
そういう人は、例えばゴミの出し方を間違えた時に注意をしたとしたら、きちんと対応してくれます。大手企業の社員かどうかは支払い能力の判断材料にはなりますが、マナーまではわかりません。
むしろ勤務先の規模は小さくても、面談時のマナーが良い人は問題がないことが多いです。特に不良入居者に悩まされたことがある大家さんには、入居面談をおすすめします。面談で、不良入居者をかなり防ぐことができます。
◇入居面談のポイント◇
・面接ではない! ソフトな雰囲気を大切に
・引っ越し理由の確認は必須
・近くから引っ越してくる人は、要注意
・会えない時は、電話でもOK
・外国人は、マナーの良さを重視
おきの・げん 日本大学大学院理工学研究科修了。大手不動産会社を経て2009年より不動産仲介・コンサルティングを行うリーシングジャパン代表取締役。一般財団法人日本不動産コミュニティー監修「不動産実務検定」の人気講師として活躍。週刊住宅新聞への連載ほか執筆・講演多数。日本最大級の女性大家の会「ローズ会」を主宰。http://www.leasingjapan.com/
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