「家賃債務保証」のよくある誤解!③保証会社へのよくある誤解
NPO法人NORS 民間住宅安定化全国支援組織 理事長 中島 拓
保証会社へのよくある誤解
保証会社を利用することはとても便利なことですが、一部誤解されているケースもあります。当社で把握している実態を踏まえながら代表的な例を紹介します。
①連帯保証人と保証会社の保証範囲の違い
×保証会社の保証範囲は連帯保証人と同じ。
○保証会社社は金銭債務のみを保証!
連帯保証人の場合は、賃借人に起因するほぼ全ての債務不履行が保証対象となります。一方、保証会社は、金銭債務とそれに付随する債務を保証対象としており、連帯保証人の役割を100%代替しているわけではありません。
例えば、保証会社は近隣とのトラブルや水漏れ・破損などへの対応は行いません。
②各保証会社による保証の範囲の違い
×各保証会社の保証範囲に大差はない。
○保証会社によって保証範囲は異なる!
一口に「金銭債務」と言っても、保証範囲は全社共通ではありません。家賃・共益費・管理費はどの会社も保証しますが、原状回復費用や更新料、明け渡訴訟費用などについては会社によって保証の有無が異なりますので注意が必要です。図3参照
③代位弁済の請求期限
×代位弁済は過去に遡って請求できる。
○代位弁済の請求には期限がある!
すべての保証会社は、代位弁済の請求に期限を設けています。具体的には滞納発生(支払約定日)から「60日以内」「10日以内」「80日以内」など会社によりさまざまです。既にご利用の保証会社がある場合は、必ず請求期限を確認しましょう。
期限を過ぎると代位弁済が行われませんので、滞納が分かり次第、早めに保証会社へ請求することをお勧めします。なお、家賃の集金代行を保証会社に依頼している場合は、保証会社が支払いの有無を把握できるため、代位弁済請求は不要です。
④代位弁済請求後の入金時期
×代位弁済の請求後、すぐに入金してもらえる
○入金時期は、保証会社により異なる
代位弁済請求をしてから実施(入金)されるまでの期間は、保証会社によって異なります。「3営業日後」の会社もあれば、「月末」や「退去後にまとめて行う」などとするところも少なくありません。
保証会社を利用する際は、カバーされる範囲などを確認しておくようにしましょう。
※関連リンク※
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なかしま・ひらく 1957年大分県生まれ。’80年、中央大学法学部卒業後、㈱拓成入社。’15年、㈱拓成退社。NPO法人NORS(民間住宅安定化全国支援組織)理事長。著書に『よくわかる!家賃債務保証の知識』(日本経済新聞出版社)、『お金を使う人 お金に使われる人』(共著、時事通信出版局)、『検証 過払い』(共著、Bkc出版)がある。