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更新日 : 18/04/20

「大家が主役」の時代⑧「定期借家契約」のメリットとは

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リーシングコンサルタント 沖野 元

定期借家契約の普及率は5%以下

私は昨年、知人の大家さんと共著で定期借家契約をテーマとした本を出しました。タイトルは『賃貸の新しい夜明け』。定期借家契約の普及が、厳しい賃貸経営の夜明けを促すという思いを込めました。

定期借家制度が施行されて15年が経ちましたが、未だに普及率は5%以下です(国土交通省 平成26年度住宅市場動向調査)。今回は、定期借家契約を導入するメリットについてお話をしたいと思います。

大家さんが、初めて借主と対等になれる契約

定期借家契約とは、あらかじめ期間を定めて契約し、期間の満了により必ず終了する借家契約です。従来の普通借家契約のような「更新」や、自動的に契約が継続してしまう「法定更新」はありません。

普通借家契約では、大家さん側から契約解除を行うには「正当事由」を示し、認められることが必要です。このハードルが極めて高く、不良入居者であっても、すぐに退去させることができないのです。

その点、定期借家契約では、契約終了の理由を問われることはありません。もし、入居の継続について貸主と借主がお互いに合意した場合は、「更新」ではなく、「再契約」を結ぶこととなります。

以上のことから、私は「定期借家契約こそが、貸主と借主が初めて対等になれる契約」だと考えています。

普通借家契約は、時代に合わなくなっている

ここで、普通借家契約がいかに対等でないかについて補足しておきます。貸主からの解約が認められるために必要な「正当事由」として、借地借家法では4つ定められています。

貸主側で、建物の使用が必要な事情(自分が住むなど)

借主側に問題(滞納やトラブルが多いなど)

建物の利用状況および現況(老朽化、防災上の危険性など)

借主への財産上の給付(立退き料など)

しかし、現実的には上記が認められるケースはほとんどありません。大家さんの多くは、借主に6カ月以上前に予告した上で、④の立退き料などを支払い、やっと解約してもらっているのが現状です。

不条理だとお感じになるでしょう。戦後の住宅難の時代に借主の居住権を守る目的で制定された借地借家法が、現代に合わなくなっているのです。

より良い住環境をつくり、保つために

定期借家制度は、時代の要請で生まれた、大家さんを守るための契約スタイルです。しかし、なかなか浸透しません。その大きな理由は、「定期借家契約は更新ができないため借主に敬遠され、成約しにくい」という誤解です。

定期借家契約の本質は、入居者を確実に退去させることにあるのではなく、不良入居者を排除し、良好な住環境を保つことにあります。

優良な入居者に長く住んでもらいたいというのは、大家さん共通の思いです。家賃を滞納しがちだったり、騒音などで他の入居者に迷惑をかける人は、退去してもらいたいはずです。

優良な住環境を提供すれば入居者に喜ばれ、安定経営に繋がります。それが定期借家契約によって実現するとしたら、導入してみたいと思いませんか?

次回は、具体的な導入方法についてお話しします。

(プロフィール)おきの・げん 日本大学大学院理工学研究科修了。大手不動産会社を経て2009年より不動産仲介・コンサルティングを行うリーシングジャパン代表取締役。一般財団法人日本不動産コミュニティー監修「不動産実務検定」の人気講師として活躍。週刊住宅新聞への連載ほか家の会「ローズ会」を主宰。http://www.leasingjapan.com/

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