「改正住宅セーフティネット法」の賃貸への影響①民間賃貸住宅が対象に!
不動産コンサルタント 平野雅之
改正法の趣旨とは?
社会的弱者や困窮者に対する社会保障制度全般を「セーフティネット」と呼びます。そのなかで「住宅の確保」に着目したのが「住宅セーフティネット」です。
「改正住宅セーフティネット法」(住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律)が2017年4月19日に可決・成立し、4月26日に公布、10月25日に施行されました。
改正法の趣旨は、「大家さんは住宅に困っている人の入居を断らないでください」「協力してくれる大家さんに対しては、国や自治体が支援・サポートをします」というものです。
では、改正法によって具体的に何が変わったのか?今後の賃貸経営への影響、改正法の概要、登録制度の仕組み、賃貸不動産オーナーへの影響など、今後の賃貸経営に関わる点に絞ってお話しします。
「改正・住宅セーフティネット法」の対象
この法律の対象となる「住宅確保要配慮者」(以下、「要配慮者」)とは、低額所得者、被災者(被災後3年以内)、高齢者、障がい者、子育て世帯(18歳未満の子供の養育者)、その他国土交通省令で定める者を指し、母子家庭や父子家庭、DV被害者、犯罪被害者、一定の外国人、生活保護受給者なども含まれます。
「要配慮者」に対する支援はこれまでもさまざまな形で行われてきましたが、住宅の提供に関しては公営住宅や借上公営住宅、特定優良賃貸住宅(特優賃)、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などが中心でした。
それに対して今回の改正の大きな特徴は、新たに民間賃貸住宅を対象に加えたことと、空き家活用の推進を打ち出し、住宅セーフティネット機能を強化する新たな仕組みを構築した点です。
◇住宅確保要配慮者とは
①低額所得者(政令月収※15.8万円以下)
②被災者(被災後3年以内)
③高齢者
④障がい者(身体・精神・知的・高次機能障害)
⑤子供(18歳未満)を養育している者
⑥上記以外に国土交通省令で定める者(外国人、東日本大震災など大規模災害の被災者、自治体が定める者)
※政令月収とは、世帯全員の年間総所得金額から扶養控除等の額を控除した後の平均月収
「改正住宅セーフティネット法」の賃貸への影響①民間賃貸が対象に!
「改正住宅セーフティネット法」の賃貸への影響②高齢単身者への支援
「改正住宅セーフティネット法」の賃貸への影響③登録と改修費の補助
「改正住宅セーフティネット法」の賃貸への影響④大家さんへのメリット
(プロフィール)ひらの・まさゆき 不動産コンサルティング会社「リックスブレイン」代表。宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター。20年以上にわたり首都圏を中心に不動産媒介業務に携わる。総合情報サイトAll Aboutで「不動産売買」ガイドを務めるほか、LIFULL HOME’Sをはじめさまざまなメディアで情報を発信。実務者向け専門誌への寄稿、消費者向けセミナー講師なども務める