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入居者トラブル
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更新日 : 17/10/31

立ち退きをスムーズに進める方法その②交渉の手順・立ち退き料

会話のイメージ

 

弁護士法人 日本橋さくら法律事務所代表 上野 晃

 

交渉は手順を踏んで、ていねいに

立ち退き交渉は、段階を踏んでていねいに行う必要があります。具体的な手順は次のとおりです。

 

①入居者に「手紙」を送る

入居者全員の郵便受けに「手紙」を投函します。

文面は「お伺いしてご相談したいことがあります」程度にとどめ、具体的なことはまだ書きません。できるだけ柔らかい文章で、高圧的にならないよう注意してください。

 

②入居者を訪問する

入居者の希望日時に部屋を訪問し、建て替えの予定があることと、その理由について説明します。

訪問時に手土産を持参するのも良いと思いますが、相手を構えさせない程度のものにしましょう。

この時もまだ、「いつまでに退去してほしい」「立ち退き料は○円」などの具体的な話はしません。むしろ、入居者の身の上話などをよく聞き、立ち退き条件を提示するための情報収集に努めます。

聞いておきたいポイントは次のとおりです。

・仕事のこと

・子供のこと(学校のことも含む)

・近隣との付き合い

・その他、生活上の困り事など

 

③立ち退きの条件を決める

訪問後、具体的な条件(退去時期や立ち退き料など)の交渉を行います。

入居者によって電話で交渉できる場合と、再度訪問が必要な場合があります。オーナー・入居者の双方が合意すれば、交渉は成立です。

 

入居者に「お願い」するスタンスで

立ち退き交渉は戦いではありません。あくまでもオーナー側の都合で入居者に「お願い」するものであることを忘れないでください。訪問時には次の点に留意しましょう。

訪問時には次の点に留意しましょう。

入居者の事情をよく聞く

事前に「手紙」を受け取っているので、入居者は少なからず不安や警戒心を抱いています。

大切なことは、オーナー側の事情を一方的に話すのではなく、入居者の事情(仕事のことや子供の学校のことなど)をよく聞くことです。

入居者の気持ちがほぐれることで、交渉もスムーズに進みやすくなります。なかには、オーナー様が入居者の人生ドラマに共感し、退去に向けて協力し合うといった幸せなケースもありました。

「立ち退き料」に決まりはない

しかし、そんな幸せなケースばかりではありません。「1000万円支払ってくれるまで退去しない!」など法外な要求をする借主もいます。

そもそも立ち退き料の妥当な金額はいくらなのでしょうか? 多くのオーナー様が「判例ではいくらですか?」と質問されます。しかし残念ながら、統一的な判例はありません。

目安は賃料の6〜10カ月程度

ケースバイケースですが、これまでの私の経験から一定の目安をお伝えすると、「賃料の6カ月程度で解決するのであれば万々歳、10カ月分程度までなら許容範囲内」ではないかと思います。ただし、店舗の立ち退きなどは営業補償なども含みますので、金額がさらに高くなるのは避けられないでしょう。

必ず把握したい、近所付き合いの有無

立ち退き料を決めるにあたり重要なのは、借主が他の住人と近所付き合いをしているかどうかの把握です。「Aさんは○円と言われたのに、ウチは△円だった」などと情報が伝わるともめる原因になります。交流のある借主同士には金額を同じにするといった配慮が必要です。

 

※リンク

立ち退きをスムーズに進める方法

その①スケジュールの立て方

 

(プロフィール)

上野 晃 うえの・あきら

早稲田大学卒業。2007年弁護士登録(東京弁護士会)。’11年、都内法律事務所勤務等を経て、東京八重洲法律事務所開設。’13年、同事務所の不動産部門を中心に、日本橋さくら法律事務所が発展的に誕生。翌年、弁護士法人化し、現職。賃貸不動産オーナー対象のセミナー講師も多数務める。共著に『弁護士からの提言 債権法改正を考える』(第一法規)がある。

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