今すぐ始めたい「長期満室対策」その③大家の気持ちを伝える
有限会社ウエストセンター専務取締役/賃貸オーナー 中西紀二
対策3.気持ちを伝える3つの挨拶
新規の入居者様を迎えるにあたって大切なことがあります。
それは、ここでの暮らしをより気持ちよく安心してスタートしていただくことです。
新たに入居者様が決まるたびに私が行っているのは、歓迎の気持ちを伝える3段階のご挨拶です。
●入居の初日:メッセージカードでお迎え
入居初日に見ていただけるよう、キッチンにメッセージカードを置いておきます。内容は、「入居者様の名前」「入居のお礼と歓迎の言葉」「近日中にご挨拶に伺うこと」です。必ずスパークリングワインとペアグラス、花もセットしています
●入居の翌日:挨拶状の郵送
入居の翌日に届くよう、挨拶状を郵送しています。
●1週間以内:名刺を持って訪問
入居後1週間以内に、名刺を持ってご挨拶に伺います。あらためて歓迎の思いを伝え、「何かあればいつでもご連絡ください」という言葉も添えます。
対策4.名前入りの出産祝いを届ける
入居者様に赤ちゃんが生まれたら、出産祝いを持参しています。
植栽の水やりやチョークボードの更新時、お腹の大きい奥様に会ったら予定日と性別、出産後には名前を聞いておきます。名前入りのお祝いを贈ると、とても喜んでいただけます。
今後は、出産時だけでなく入居3周年、5周年などの節目にサプライズプレゼントをすることも計画中です。
対策5.大盛況!パンマルシェや餅つき大会
花やチョークボードなどで入居者様とのコミュニケーションの基盤が整ってきたら、一歩進んだ「満室対策」も可能になります。その一つが、年に数回、エントランスで実施している「パンマルシェ」です。
地元の有名パン屋さん(3店)に事前予約しておき、開催日の11時からエントランスに焼き立てパンを並べて入居者様に自由に選んでいただきます。
パンは1世帯当たり4個まで無料とし、不参加の方には終了後に配ります。参加率は毎回7割以上と大好評です。
パンを通じて入居者様同士のコミュニケーションが生まれ、エントランスが笑顔で溢れます。
ほかにも、大規模修繕工事の完了記念バーベキュー、年末の餅つきイベントなどを開催。つき立てのお餅は全戸に配り、喜ばれています。
まずは行動を起こしましょう!
「満室対策」は、「空室対策」としては即効性がないと思われるかもしれません。
しかし、入居者様を大切にする大家さんにはファンができ、物件の雰囲気が良くなり、不動産会社の方も「紹介したらすぐに決まる」と自信を持って案内してくれます。
●原動力は自分が楽しむこと
派手なことはできなくても、入居者様に喜んでいただけることを考え、地道に、継続することが大切だと思います。そして継続の原動力は、まず自分が楽しむことです。
日本では、「大家さんが入居者様のために働きかける」という概念がまだ希薄です。賃貸経営の勝機はそこにあると思います。どんな小さなことでも構いません。
まずは行動を起こしましょう! するとたくさんの「ありがとう」が返ってきます。
その瞬間こそ、大家業の醍醐味ですよ!
※リンク
今すぐ始めたい「長期満室対策」
その①真の空室対策は「空室」を出さないこと
その②快適環境とコミュニケーションづくり
その③大家の気持ちを伝える
(プロフィール)
中西紀二 なかにし・のりつぐ
賃貸オーナー。1974年福岡県朝倉市生まれ。大学卒業後、予備校の宅建講座講師、分譲マンション管理会社勤務を経て、2010年より家業の大家業を引き継ぐ。現在、福岡市および近郊に6棟129戸を所有し、自主管理ながら高稼働率を実現する、自称「HA・RI☆KI・RI大家」。宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士。オーナー向けセミナーの人気講師としても活躍。