今すぐ始めたい「長期満室対策」その①真の空室対策は「空室」を出さないこと
(有)ウエストセンター専務取締役 賃貸オーナー 中西紀二
築30年で可動率9割以上の秘訣とは?
賃貸市場がますます供給過剰になるなか、従来のやり方だけでは満室経営がむずかしいケースも出てくると思います。では今後、どのような対策を行えばよいのかーー。
私は二代目大家で、激戦区といわれる福岡市とその近郊でファミリー向け賃貸マンション6棟129戸を経営しています。
今回は私が行って実際に成果をあげていて、かつすぐに取り組める「満室対策」をご紹介したいと思います。
大切なのは「満室状態を維持する」根本的な施術
まず、一般に言われている「空室対策」と、私が考え実行している「満室対策」の違いについてお話しします。
私の物件はいずれも築25〜30年ですが、可動率9割以上をキープしています。そのカギは、「空室対策」ならぬ「満室対策」にあります。言葉は似ていますが、意味は大きく異なります。
「空室対策」は、物件のなかで空室だけに着目し、部屋を埋めるために策を講じることです。モグラたたきと同じで根本的な解決にはなりません。一方、「満室対策」は建物を満室にして、その状態を維持するために行う入居者への施策です。
「あの部屋に住んでよかった」と思われる仕事
これから大空室時代を迎えるとも言われるなか、真の「空室対策」は空室を出さないことだと思います。物件全体を視野に入れ、入居者様の快適な暮らしに貢献すること、これが私の考える「満室対策」です。
賃貸物件である以上、退去は避けて通れませんが、退去後「あの部屋に住んでよかった」「あの大家さんには良くしてもらった」と思い出していただけるような仕事をしたいと考えています。それが大家としての仕事の価値であり、喜びだと思っています。
入居者の感謝の言葉で開眼!
そう思うようになったのは、新米大家の頃、ある長期入居者の退去に立ち会ったことがきっかけでした。
その方は22年間暮らした部屋を愛おしそうに何度も歩き回り、「うちの子はここで生まれて、ここで育って、ここから社会に巣立ったんですよ」とおっしゃったのです。
その時の衝撃は忘れられません。その時、「大家業って、人生の一部を預かることなんだ、なんと大切で尊い仕事だろう!」と思い知りました。
それを機に、私は「生涯の記憶を飾る居住空間を創造し、お客様の人生に貢献すること」を賃貸経営の理念に掲げました。
「満室対策」もこの思いに基づいて行っています。では、どのようなことを行っているのか、「その②」その③」で具体的にお話ししていきましょう。
※リンク
今すぐ始めたい「長期満室対策」
その①真の空室対策は「空室」を出さないこと
その②快適環境とコミュニケーションづくり
その③大家の気持ちを伝える
(プロフィール)
中西紀二 なかにし・のりつぐ
賃貸オーナー。1974年福岡県朝倉市生まれ。大学卒業後、予備校の宅建講座講師、分譲マンション管理会社勤務を経て、2010年より家業の大家業を引き継ぐ。現在、福岡市および近郊に6棟129戸を所有し、自主管理ながら高稼働率を実現する、自称「HA・RI☆KI・RI大家」。宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士。オーナー向けセミナーの人気講師としても活躍。