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相続・税金
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更新日 : 17/09/14

平成29年度・税制改正のポイントその③固定資産税・相続税評価額の見直し

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大家さん専門税理士 賃貸オーナー 渡邊浩滋

1.タワーマンションの固定資産税評価の見直し

現在、分譲マンションの固定資産税評価額は、マンション1棟の固定資産税評価額を算出し、各区分所有者の専有部分の床面積の割合で按分することになっています。つまり、床面積が同じなら、1階も50階も同じ評価額になります。眺望や階数、人気度などは評価額には反映されません(天井の高さ、附帯設備の程度、仕上げの程度等により補正はされます)。

●評価額と市場価格のギャップを利用した「タワーマンション節税」

しかし、市場価額はそうではありません。1階と50階では、50階のほうが高額になります。その市場価額と固定資産税評価額のギャップを利用して、相続税の節税に利用したのが、いわゆる「タワーマンション節税」です(相続税の建物の評価は、固定資産税評価額になります)。

●タワーマンションの評価額は、上の階ほど高くなる

これに規制をかけるため、今回の改正でタワーマンションの固定資産税評価額の算出方法が変更されます。高さ60mを超えるタワーマンションに限り、上階に行くほど税額が上がることになりました。

具体的には1階を100とし、階が増すごとに39分の10(約0・256%)を加える補正を行います。

◇適用:平成29年4月1日以降に売買契約された新築マンション

●改正による大きな影響はなさそう

今回の改正では、1階を100とすると50階なら約113になります。例えば、1階が3000万円の評価なら50階の評価は3390万円です。全体の評価額をこの数値で按分することになるので、実際にはそんなに評価額は増えません。

これでは、タワーマンション節税はまだまだ有効と言っているようなものです。

2.広大地評価の見直し

広大地とは、単に広いだけでなく、開発をするために道路などを作る必要がある土地のことです。費用がかかるため、面積に応じて比例的に相続税評価額を減額する方法がとられてきました。

●土地の個性を加味した評価に変更

しかし、面積が同じなら整形地でも変形地でも同一評価額となり、現状に即しているとは言えませんでした。改正によって、面積に加え、土地の個性(形状、奥行など)を加味した評価方法に変わります。

また、あいまいだった広大地の適用要件が明確化されることになりました。

◇適用:平成30年1月1日以後に相続等で取得した財産。

●「広大地の要件」とは?

①大規模工場用地に該当しない

②中高層の集合住宅などの敷地用地でない

③地域の標準的な宅地に比べて著しく広大

例.1都3県の場合:原則として市街化区域内は500㎡以上、それ以外は1000㎡以上

(非線引き区域は3000㎡以上)

④開発を行う場合、道路などの負担が必要

●改正前後で評価額が大きく変わることも

今回の改正で、オーナー様に一番大きな影響を与えそうなのが、この広大地評価の見直しかと思います。理由は、広大地評価による減額の有無が税負担を大きく左右するからです。現行の減額率(補正率)は、最低40%ですが、改正により引き下げられるのではないかと噂されています。そうなれば、現行の評価額より高くなることがあり得るため、改正後に相続があると不利になることも考えられます。

●対策のポイント

そのような場合、現行の広大地評価を使って生前贈与をする方法も有効です。普通に贈与すると贈与税が莫大にかかるため、「相続時精算課税制度」を利用するのがおすすめです。利用にあたっては注意すべき要件がありますので、必ず税理士に確認の上、実行するようにしてください。

◇「相続時精算課税制度」のポイント

・60歳以上の親(もしくは祖父母)から20歳以上の子または孫への贈与が、2500万円まで非課税になる(年齢は1月1日時点)。2500万円を超える部分には一律20%の贈与税がかかる。

・ただし相続時には、子に贈与した金額が相続財産に加算される(受贈者が孫の場合は相続される)。

・生前贈与する資産に対して、贈与税ではなく相続税で課税する、いわば相続財産の前渡し制度。

・贈与時の評価で相続税が課税されるため、現行の広大地評価で贈与すれば、その評価額を固定できる。

※リンク

平成29年度・税制改正のポイントー賃貸経営への影響と対策

その①「配偶者控除」「配偶者特別控除」の見直し

その②法人税の特例の延長

その③固定資産税・相続税評価額の見直し

(プロフィール)

渡邊浩滋 わたなべ・こうじ

税理士・司法書士。明治大学法学部卒業。総合商社勤務を経て税理士となる。2008年、両親から危機的経営状態のアパート5棟86室を継ぎ、税理士業と並行して経営を立て直す。‘11年、独立開業。税理士・司法書士の強みを活かし、不動産のスペシャリストとして、また大家の視点から賃貸経営のアドバイスを行う。セミナー、講演多数。著書に「大家さん税理士による 大家さんのための節税の教科書」「大家さんのための超簡単!青色申告」がある。

http://www.w-sogo.jp/

http://ameblo.jp/zeirishiohya/(ブログ)

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