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相続・税金
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更新日 : 17/08/17

資産を殖やす「資産組み換え講座」⑫「売りにくい土地を有利に売るために」

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税理士・中小企業診断士 飯塚美幸

2億円にものぼる相続税が・・・

甲様は代々の地主業。とはいえ、代を継ぐ相続で土地は徐々に目減りしています。遺産相続のために家作や資産を分割し、本家も相続税の納税のために資産売却を余儀なくされてきたそうです。

昭和から平成にかけての地価の大変動に伴い、資産のリストアップをしていただきました。甲様所有の資産はもちろん、後継者の乙様の資産や乙様が経営している会社のものも全部です。試算をした結果、2億円にのぼる相続税がかかることが分かりました。

売りにくい土地と整理しやすい土地

所有資産のリストには甲様所有のA地、甲様の後継者の乙社所有のB地があり、地価は合計約3億円です。

甲様は、A地を売却するしか方法がないだろうかと途方に暮れていました。しかし、A地は甲様の先祖伝来の土地。売却時に概算取得費として売価の5%は原価にできますが、利益が大きいため譲渡課税(所得税15%+住民税5%)が大きくなります。

何より、A地は借家権を解消するか居抜きで不利な価格で売却するしかなく、売買には適していません。かつ、それなりに収益は高いので、そもそも手放すには惜しいのです。

一方、乙社所有のB地は、値上がりしているとはいえ、原価が2億円。もちろんB地を法人が売れば、法人税率が40%と高いために、税額は高額になります。ただし、B地は売却に障害がありません。

固定資産の交換特例で納税資金を捻出

そこで、固定資産の交換特例を適用してA地とB地を交換し、B地を個人所有にしたうえで、売却し納税資金とする計画を立てました。

相続税評価はどのみち路線価評価ですから、A地もB地もほぼ同じ。ただし、B地は譲渡税計算において、A地の取得費と取得時期を引き継ぎます。A地の譲渡税は、個人の20%税率と相続後の取得費加算制度を適用しますから、最も有利に売却できてしまうのです。もちろん、乙社はB地を借入で取得していましたから、借入担保をA地に付け替えて貰う必要がありましたが、これはA地の物件審査でOKになりました。

守りたい土地を守るために

甲様は、交換の税金費用を軽くできないか、また、交換で収益のよいA地を法人に移すことができたため、地価の動向によってはそのまま売却せずに、個人所有にしたB地を相続税評価額で物納できないかなど、知恵を巡らしています。

今さらながら、オーナーとしての知恵の構築の必要性を痛感される甲様です。

※リンク

資産を殖やす「資産組み替え講座」
①再建築不可の旗竿地の蘇生
②賃貸マンションの名義は法人? 個人?
③売却は売りやすい土地から?
④路線価の高い土地と低い土地の交換
⑤未分割法定相続共有の解決
⑥「とりあえず共有相続」の解決
⑦自宅の権利調整
⑧「相続後の有利売却」と利息の経費化
⑨「アパートの贈与」で収益力を増加
⑩「会社借金の肩代わり」と事業転換
⑪「片割れ交換」でWin・Win・Win
⑫売りにくい土地を有利に売るために

(プロフィール)

飯塚美幸 いいづか・みゆき

税理士、中小企業診断士、事業承継協議会会員、千代田区議会諮問委員、不動産コンサルティングマスター試験委員、成年後見人東京家庭裁判所登録員
静岡生まれ。静岡大学人文学部卒業、平成7年飯塚美幸税理士事務所開業/エクスプレス・タックス株式会社設立、平成22年松木飯塚税理士事務所、平成25年松木飯塚税理士法人設立、代表社員就任、現在に至る。
主著として「小規模宅地特例−実務で迷いがちな複雑・難解事例の適用判断」(清文社)、「税理士のための相続税実務−贈与税各種特例」(中央経済社)、「財産を殖やすための相続対策プログラム」(日本法令)、共著として「平成27年度よくわかる税制改正と実務の徹底対策」(日本法令)、「『資本の部』の実務−改正商法・会計・税務」(新日本法規出版)などがある。

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