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相続・税金
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更新日 : 17/05/30

資産を殖やす「資産組み換え講座」⑪片割れ交換でWin・Win・Win

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税理士・中小企業診断士 飯塚美幸

土地を欲しい人、売りたくない人

甲地で店舗経営をするA社は、隣地のBさんの乙土地が欲しくてたまりません。Bさんの土地と自分の甲地を一体にできれば、道路斜線制限などの影響から解放され、容積率・立坪率が上がり、より大きな建物を建てることができるからです。

しかし、Bさんにとって乙地は長年の商売の土地ですから、手放すわけにはいきません。

今の乙地でさえ手狭なのに、仮に売却して買い換えると税金の負担で、今の商売を維持できなくなるからです。

ところで、乙地の並びにCさんが広い自宅の丙地を所有。Cさんは周辺が商業地になったので、売却して息子たちの住む町へ移りたいと思っています。しかし、なかなか買手がつきません。

片割れ交換の手法

その話を聞いたA社長。平地があれば、Bさんも納得すると考えました。

Bさんの乙土地とCさんの丙土地を交換し、そののち、Cさんが取得した乙土地をCさんから売ってもらえば、A社は希望の乙土地を取得できます。Cさんは元々売りたいわけですから、譲渡税がかかるのは承知です。

固定資産の交換特例

固定資産の交換特例とは、固定資産を相互交換しても要件に合えば、譲渡所得税や法人税を繰り延べが可能とする制度です。次の6要件を満たせば、譲渡がなかったものとして、次にその資産を売却するまで課税が繰り延べられます。

①土地と土地同士など同種資産

②宅地は宅地など譲渡前と同一用途に供する

③それぞれ1年以上の所有資産

④それぞれ交換目的で取得したものでないこと

⑤時価の比が2割以内

⑥交換の特例について確定申告すること

三者三様に望み通りに

流れは以下のようになります。

1)Cさんは自分の丙地とBさんの乙地を交換した後、乙地をA社に売却。Cさんは丙地売却には交換特例を使わず、通常の居住用財産の譲渡特例、つまり「3千万円の特別控除」と「6千万円の14%軽減税率」で税軽減を適用。そして乙地を同じ時価でA社に売却しますが、短期譲渡、値上がり益ゼロで譲渡税はかかりません。居住用丙地売却の税金は、A社からの売却代金から支払います。

2)Bさんは自分の乙地をCさんの丙地と交換し、交換後に大きな店舗にして新装開店。乙地は交換特例を使って確定申告します。店舗建替えで銀行融資を受ける際、大きな丙地が担保にでき、融資はたっぷりつきました。

このとき、Cさんが交換後譲渡して交換要件を欠いていても、Bさんの交換特例は適用OK。また乙地と丙地は広さも評価額も異なりますが、他人であるBさんCさんが等価とみれば、それが時価。交換特例が適用できるのです。

3)A社は念願の乙地をCさんから取得。角地なので土地査定額が上がり、社屋建替えの融資もスムーズでした。

こうして、三者三様に望み通りとなりました。A社長の知恵の勝利と言えます。

※リンク

資産を殖やす「資産組み替え講座」
①再建築不可の旗竿地の蘇生
②賃貸マンションの名義は法人? 個人?
③売却は売りやすい土地から?
④路線価の高い土地と低い土地の交換
⑤未分割法定相続共有の解決
⑥「とりあえず共有相続」の解決
⑦自宅の権利調整
⑧「相続後の有利売却」と利息の経費化
⑨「アパートの贈与」で収益力を増加
⑩「会社借金の肩代わり」と事業転換
⑪「片割れ交換」でWin・Win・Win
⑫売りにくい土地を有利に売るために

(プロフィール)

飯塚美幸 いいづか・みゆき

税理士、中小企業診断士、事業承継協議会会員、千代田区議会諮問委員、不動産コンサルティングマスター試験委員、成年後見人東京家庭裁判所登録員
静岡生まれ。静岡大学人文学部卒業、平成7年飯塚美幸税理士事務所開業/エクスプレス・タックス株式会社設立、平成22年松木飯塚税理士事務所、平成25年松木飯塚税理士法人設立、代表社員就任、現在に至る。
主著として「小規模宅地特例−実務で迷いがちな複雑・難解事例の適用判断」(清文社)、「税理士のための相続税実務−贈与税各種特例」(中央経済社)、「財産を殖やすための相続対策プログラム」(日本法令)、共著として「平成27年度よくわかる税制改正と実務の徹底対策」(日本法令)、「『資本の部』の実務−改正商法・会計・税務」(新日本法規出版)などがある。

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