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更新日 : 17/04/24

資産を守り、未来につなげる「家族信託」その①「家族信託」のしくみとメリット

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宮田総合法務事務所 代表司法書士  宮田浩志

資産承継に大きな可能性を秘める「家族信託」

「家族信託」とは、一言で言うと「財産管理」の一つの手法で、2007年(平成19 年)の信託法改正によって使いやすくなり、注目され始めた方法です。そのため、認知度はまだそれほど高いとは言えません。

しかし、厚生労働省の調査によれば、今や65歳以上の 4 人に1人が認知症またはその予備軍と言われる時代です。そのなかで、「家族信託」はオーナー様の資産承継や相続を行う上で、大きな可能性を秘めた方法だと思います。

今回は、「家族信託」のしくみとメリット、上手に活用するためのポイントについてお話しします。

あるオーナー親子との出会い

私が「家族信託」に積極的に取り組むようになったのは約8年前。きっかけは、あるクライアントA さん(55歳)との出会いでした。Aさんのお父様は多数の賃貸物件を保有するオーナーで、相続税対策としてアパートの建て替えなどを検討中でした。

しかし、 80歳を超えて物忘れが多くなり、「もし途中で認知症になったら、計画がとん挫してしまうのではないか・・・」と、建て替えに踏み切れずにいたのです。

実際に、認知症を発症して判断能力を喪失すると、契約行為や資産運用などができなくなるため、お父様の不安は無理のないものでした。

そこで私は、仮にお父様が認知症を発症しても、引き続き相続対策を行うことができ、資産を健全に引き継げるベストな方法を検討しました。そして、当時はまだほとんど知られていなかった「家族信託」をお勧めしました。

「資産凍結のリスク」とは?

なぜ、「家族信託」が良いと思ったのか?それは認知症発症後に立ちはだかる「資産凍結」、すなわち資産を自由に動かせなくなるリスクを回避できるからです。

定期預金の解約や不動産の売却、節税のためのアパートの新築・建て替え、購入、買い替えなど、重要な財産の処分にあたっては「本人確認」手続きが不可避です。もし、認知症により判断能力が著しく低下した場合、本人自らはこれらの行為ができなくなってしまいます。もちろん、成年後見制度を利用することで定期預金の解約等は後見人ができますが、それ以外の不動産がらみの計画実行はかなり制約を受けます。

しかし、元気なうちに「家族信託」を活用することで自分の希望を家族に託すことができ、認知症発症後も希望に沿った資産の管理や処分を確実に行うことができます。

「家族信託」のしくみとは?

「家族信託」のしくみについてご説明しましょう。

まず、「信託」とは資産の所有者(=委託者)が信頼できる相手(=受託者)と契約を結び、不動産・現金・有価証券等の資産を託すものです。受託者は契約で定められた目的に従って、特定の人(=受益者)のために資産(=信託財産)の管理・処分を行います。

●家族間で行う信託契約

「家族信託」とは、この信託契約を家族間(主に親子)で結ぶものです。Aさん親子のケースで具体的に説明していきましょう。

お父様(委託者)は元気なうちに自分の財産、具体的には自宅や賃貸アパート、現金等をAさん(受託者)に託します。受託者となったAさんは、託された財産の管理等を行います。家賃の受領や固定資産税の支払いはAさんが行いますが、お父様はAさんから家賃収入などの利益を受け取り、これまで通り自由に使うことができます。これが「家族信託」のしくみです。

これなら、お父様が認知症により判断能力を喪失したとしても、Aさんが財産を適切に処理することができます。いわば「家族の、家族による、家族のための財産管理」の手法と言えます。

※リンク

資産を守り、未来につなげる「家族信託」
その①「家族信託」のしくみとメリット
その②「成年後見制度」とどこが違うのか?
その③「家族信託」の上手な使い方

(プロフィール)

宮田浩志 みやた・ひろし
宮田総合法務事務所 代表司法書士。認知症高齢者や障がい者の成年後見人や後見監督人に現在50件前後就任中。その豊富な経験を生かし、家族信託・遺言・成年後見制度等の仕組みを活用した高齢の不動産オーナーや会社経営者等に対する認知症対策・円満円滑な相続対策のコンサルティングでは先駆的な存在。日本屈指の組成実績と相談件数を持ち、全国で一般向け・専門家向けのセミナー講師も多数。著書に『相続・認知症で困らない家族信託まるわかり読本』がある。(一社)家族信託普及協会 代表理事、  (一社)日本相続学会 理事。

宮田総合法務事務所 http://legalservice.jp/
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