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更新日 : 17/04/17

賃貸市場のトレンドを読み解く⑨震災を境に変わった部屋さがしの条件

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プリンシプル住まい総研所長 上野典行

耐震性能と立地を気にする人が増えた

東日本大震災、広島土砂災害、御嶽山噴火…。様々な自然災害が続く我が国では、防災という観点も部屋探しの大切な条件となっています。今回は、震災後の入居者の意識の変化から、これからのオーナーの心構えについてお話ししたいと思います。

震災後、住まいの防災に関する日本人の意識は急激に高まっています。マイホーム購入予定者を対象に「住宅取得時に特に重視するもの」を尋ねた調査によれば、「耐震性能」「立地(災害に対する安全性)」と答えた人の割合が、震災後に大きく伸びています。この意識の変化は、賃貸住宅の入居希望者にも起きています。

物件選びの際に「この物件は旧耐震ですか?」「活断層はどこですか?」「津波が起きた時の避難所はどこですか?」「裏山は崩れませんか?」と質問されるケースも増えています。

防災対策をアピールポイントにする

こうした声にオーナーの皆様は返答ができるでしょうか? 活断層の位置などわからないかもしれませんし、避難所も把握していないかもしれません。なかには、遠隔地に住んでいるため、自分の物件をあまり見ることができないオーナー様もいるでしょう。

しかし、入居希望者の不安にしっかりと答えられるように情報収集をしておくことは、大切な入居促進事項です。避難所はどこにあり、避難訓練はいつ行われているか、裏山について自治体ではどう言っているかなどをきちんと調べて、疑問にはすぐ回答できるようにしておきましょう。そして不動産会社に対しては、こうした物件の防災対策をアピールポイントとして説明しておくのです。

耐震補強をすることは、社会的使命

昭和56(1981)年5月31日までは、現在よりも緩い耐震基準で建築許可が出ています。このいわゆる旧耐震物件のオーナー様の中には、耐震診断をすることに及び腰の人も少なくありません。不具合があれば補強工事の投資が必要となるためです。

しかし、耐震性能の低いまま入居者を受け入れているとすれば、それは大きな事業リスクと社会不安を抱えたままということでもあります。検査の結果、安全性が客観的に立証されれば資産価値も高まりますし、補強工事をすれば、一つのPR材料となります。

入居者の安全を真剣に考える時代

震災の時、一旦裏山に避難した旅館の女将がわざわざ旅館に戻り、宿泊客の手を取って一緒に逃げていく姿が報道され、感動を呼びました。

オーナー様にとって入居者は、一泊どころか何年も住んで家賃を払ってくれる大切なお客様です。毎月の家賃収入は、投資物件が運用されて戻ってくる利回りではなく、お客様である入居者からのものです。そう考えれば、災害対策も入居者視点で捉え、耐震補強なども検討し、一緒に避難訓練をしてもおかしくはないでしょう。

絆を大切にする我が国で、自らの物件の災害対策を真剣に考えるオーナー様こそが、満室経営に一歩近づくといえるのではないでしょうか?

※リンク

賃貸市場のトレンドを読み解く
①あなたの物件は、男性向き?女性向き?
②賃料値下げより、付加価値のアップを!
③「貸してあげる」から「借りていただく」に
④ページビューから見える入居者の本音
⑤入居者の生活水準は上がっていない
⑥今どきの大学生の事情
⑦同棲カップル入居時の注意
⑧LDKはなぜ人気なのか
⑨震災を境に変わった部屋探しの条件
⑩今どきの入居者が求める設備
⑪入居者に選ばれる不動産会社と付き合う
⑫家賃滞納、とるべき対策は?
⑬初期費用の低減はどこまで行くか?

(プロフィール)

うえののりゆき 慶應義塾大学卒業後、リクルート入社。住宅情報誌編集長、スーモ等の商品・事業開発責任者、賃貸営業部長などを歴任し、2011年退社。
翌年よりプリンシプル・コンサルティング・グループにて現職。生活情報サイトAll Aboutの「賃貸」「土地活用」ガイド。全国で講演・執筆・企業コンサルティングを行う。http://www.principle-sumai.com/

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