LIXILリアルティ.comスマート不動産オーナーズ

相続・税金
LINEで送る

更新日 : 17/03/13

間違いやすい事業承継の事前対策その③ 承継者が無理なく借金を返済していけるか?

ec52547871634d1e6263bdf74fe75533_s

大家さん専門税理士 賃貸オーナー 渡邊浩滋

「借金は相続税を減らす」は、大誤解!

事業承継よりも、相続税の節税に関心をお持ちのオーナー様も多いことでしょう。なかには、「借金をすれば、相続税が下がる」と思っている方が少なからずおられ、借金は財産から差し引けると考えて、むやみに借入額を増やしてしまう傾向がみられます。

しかし相続人は、借金を返済できるのでしょうか。実は多くの二代目大家さんが、親から引き継いだアパートの借金返済で苦しんでいます(私もその一人です)。最悪の場合、返済がままならず、物件の売却を迫られることもありえます。肝に銘じておきたいのは、借金をしても相続税は1円も下がらないということです。

<例>3億円の土地を所有し、2億円の借金をした場合

相続税の対象となる財産は、

(誤)3億円−2億円=1億円

(正)(3億円+2億円)−2億円=3億円

つまり、借金は財産に加算されるので、借金をしても相続税に対象となる金額は同じなのです。

賃貸物件を建てると、相続税は下がる

なぜ借金をすると相続税が下がるという誤解が多いのでしょうか?

それは、「賃貸物件を建築すると相続税が下がる」という事実と、「賃貸物件を建てるには借金が必要」というオーナー様の事情が入り交じった結果だと思います。

なぜ、相続税が下がるのか?

簡単に、相続税評価額の仕組みをお話します。例えば、3000万円の現金と、建築費3000万円の建物とでは評価額は建物のほうが低くなります。

また、賃貸すると賃貸中の建物として減額があるため評価額がさらに下がり、その敷地の評価も下がります(評価額が半分以下になることもあります)。これで相続税が下がるのです。借金をせず、現金で建築しても同様の節税効果が得られます。

対策:アパートを建てるなら節税効果と借入額のバランスを考えて

「借金=節税」ではないことがお分かりいただけたと思います。相続税対策として借入金でアパートを建築したい場合、節税効果と借入額のバランスをよく考えて決断しましょう。最も大切なことは、承継者が無理なく借入金を返済していけるかどうかです。その判断をするために必要となるのが事業計画表です。

事業計画とは

賃貸経営の1年ごとの収支や資金繰り、借入残高などを長期(20〜30年)にわたって見積もり、一覧表にしたものです。

作成方法は本やインターネットで調べることもできますが、必要項目が多く、詳細なため、まずは管理会社に相談してみるのもよいと思います。作成にあたっては、家賃の値下がり、金利の上昇、大規模修繕による支出など、将来考えられるさまざまなリスクを想定し、見込みが甘くならないようにすることが肝心です。

もし、事業として成り立たないと判断したら、建築すべきではないでしょう。

賃貸経営「事業計画表」のチェックポイント

事業計画表を作成する際は、以下のポイントに留意することが大切です。

・空室リスクを甘く見ていないか

・修繕計画は甘くないか

・税金の負担を考慮しているか

・生活費は確保できるか

事業承継成功の最大のカギは、「早めの準備」につきます。まずは何から着手すべきか、税理士や管理会社などに相談するところからスタートしてください。

※リンク

間違いやすい事業承継の事前対策

その①親心と事業承継は切り離して考えよう
その②今や、認知症対策は、すべてのオーナーに必要
その③承継者が無理なく借金を返済していけるのか?

(プロフィール)

わたなべ・こうじ 税理士・司法書士。明治大学法学部卒業。総合商社勤務を経て税理士となる。2008年、両親から危機的経営状態のアパート5棟86室を継ぎ、税理士業と並行して経営を立て直す。‘11年、独立開業。税理士・司法書士の強みを活かし、不動産のスペシャリストとして、また大家の視点から賃貸経営のアドバイスを行う。セミナー、講演多数。著書に「ライフサイクルから考える賃貸経営の税務Q&A」、共著に「大家さんのための超簡単!青色申告」がある。

http://www.w-sogo.jp/
http://ameblo.jp/zeirishiohya/(ブログ)

ページの一番上へ