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更新日 : 17/03/06

間違いやすい事業承継の事前対策その② 認知症対策はすべてのオーナーに必要

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大家さん専門税理士 賃貸オーナー 渡邊浩滋

早めの認知症対策が必須!

最近、相続のご相談の中で、親御さんが認知症気味だという話が増えてきたと感じます。認知症で意思表示が難しいと判断されると、あらゆる契約行為ができず、遺言書も残せなくなってしまいます。これでは、事業承継どころではありません。

超高齢社会の現在、認知症対策はすべてのオーナー様に必要だと言えます。

苦労するのは二代目

オーナー様が事業承継を行う前に認知症になったらどうなるのでしょうか?

お子さんが、認知症のお父様の成年後見人となり、急きょ賃貸経営を行うケースがありますが、お子さんはいきなり経営を託され、手探りで四苦八苦されている方がほとんどです。その方々が口にするのは、「後見人はもうやりたくない。事前に対策をしておけばよかった」ということです。

成年後見人とは

ちなみに、成年後見人は必ずしも親族である必要はなく、弁護士や司法書士などの専門家が後見人になることもあります。しかし、親族以外の人が今までの賃貸経営のやり方や想いを汲んで、同じように経営してくれるとは限りません。

また、成年後見制度の目的は、あくまでも被後見人の財産の維持管理です。事業承継のための生前贈与や法人化は、その範囲を超えるため行うのが難しくなります。

3つの認知症対策

認知症の対策としては、次の①〜②の方法があります。いずれを選ぶにしても、早めに準備しておくことが大切です。

①任意後見制度

任意後見制度とは、自分が健常なうちに、将来判断能力が低下した時に備えて、財産管理や契約手続きを行ってくれる人を選び、任意後見契約を結んでおく制度です。この制度を利用すれば、頼みたい内容をあらかじめ自分で決め、信頼できる人に依頼することが可能になります。

②家族信託

信託とは、一言で言うと、財産を「信じて預ける」法律行為です。

財産の所有者(委託者)が元気なうちに、信頼できる人(受託者)と信託契約を結び、財産を預けて管理・処分・運用を託します。受託者は、利益が出たら契約で指定された人(受益者)に渡します。受益者になるのは委託者自身でも受託者でもかまいません。信託を家族間で行うことを「家族信託」といいます。

賃貸経営における「家族信託」の代表例は、オーナー様が子供と信託契約を結び、自分自身が受益者となるケースです。これによって、オーナー様が認知症を発症した場合も引き続き、子供が賃貸経営を行うことが可能になります。

③生前贈与と法人化

賃貸物件を生前贈与したり、法人化して経営を移転することによって、賃貸経営を自分から切り離すことができます。

また、承継者に経験がなく、完全に任せられる状況でない場合、当面はオーナー様が法人の役員として賃貸経営に関わり、徐々に引き継いでいくことも可能です。

※リンク

間違いやすい事業承継の事前対策
その①親心と事業承継は切り離して考えよう
その②今や、認知症対策は、すべてのオーナーに必要
その③承継者が無理なく借金を返済していけるのか?

(プロフィール)

わたなべ・こうじ 税理士・司法書士。明治大学法学部卒業。総合商社勤務を経て税理士となる。2008年、両親から危機的経営状態のアパート5棟86室を継ぎ、税理士業と並行して経営を立て直す。‘11年、独立開業。税理士・司法書士の強みを活かし、不動産のスペシャリストとして、また大家の視点から賃貸経営のアドバイスを行う。セミナー、講演多数。著書に「ライフサイクルから考える賃貸経営の税務Q&A」、共著に「大家さんのための超簡単!青色申告」がある。

http://www.w-sogo.jp/

http://ameblo.jp/zeirishiohya/(ブログ)

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