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更新日 : 17/02/27

間違いやすい事業承継の事前対策その① 親心と事業承継は切り離して考えよう

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大家さん専門税理士 賃貸オーナー 渡邊浩滋

「親心」という落とし穴

子供に負の遺産や苦労を背負わせることなく、スムーズに事業を承継するには何が大切か? 親ゆえに判断を間違ってしまうこともあります。事業承継の事前対策について、トラブル回避のコツとともにお話ししましょう。

子供が複数の場合は特に難しい

親にとって我が子は皆、かわいいものです。兄弟のなかで一人だけを特別扱いすることはせず、平等に接するはずです。しかし、事業承継ではそんな親心が裏目に出てしまうことがあります。子供が複数いる場合の承継者選びは、本当に難しいものです。多くのオーナー様が「子供は平等」と考えているからです。

もし物件が複数あれば、Aハイツは長男に、Bコーポは次男にと、物件ごとに承継者を決めることで解決します。しかし、問題は物件が1棟の場合です。「不平等」にならないよう、子供全員の共有にする方がおられます。一見、平等なようですが、私の経験上、もめることが多いです。

共有が招く兄弟間のトラブル

実際のところ、子供たちが協力して賃貸経営を行うケースは滅多にありません。どちらかが一生懸命に管理して、もう一人は何もしないということが起こりがちです。

しかし、共有である以上、賃料収入は平等に分けなければなりません。当然、一生懸命やっている人は不満がたまります。

共有解消は至難の業

よく二代目大家さんから「共有を解消したい」という相談を受けるのですが、実行するにはハードルが高いです。

共有を解消する一般的な方法は、相手の持ち分を買い取るか、自分の持ち分を相手に売却するかです。買い取る場合、その代金をどう捻出するのか。一方、売却する場合は、譲渡税が生じることもあります。費用面がネックになり、共有の解消を断念するケースも少なくありません。

対策:「親心」と「承継」は切り離す

事業承継において、共有は避けるべきです。親心と事業承継とは切り離して考えなければなりません。そして承継者以外の子供へは、別の手当が必要です。

生前から、「この物件は○○に承継させる」と言い聞かせておくと、承継者以外の子供の理解が得やすく、また承継者本人も将来を想定して早めに賃貸経営に協力的になってくれるケースもあります

法人では、株式の共有もタブー

賃貸経営を法人化している場合、株式(出資)の共有もおすすめしません。

例えば、株式100株を長男と次男に50株ずつ承継させるとします。会社の決議には、原則として過半数の合意が必要なため、一方だけの判断では決められません。もし2人の仲が悪くなると会社の運営が滞ってしまいかねません。

対策:分社化して承継させる

そうならないように会社を2社作って、長男にA社、次男にB社を承継させるとよいでしょう。会社が2社になると、維持コストも倍になるため費用面が気になる方も多いかと思います。まずは1社作って、事業承継のタイミングがきたら会社分割(分社化)をして2社に分け、それぞれを承継させるという方法もあります。

※リンク
間違いやすい事業承継の事前対策
その①親心と事業承継は切り離して考えよう
その②今や、認知症対策は、すべてのオーナーに必要
その③承継者が無理なく借金を返済していけるのか?

(プロフィール)
わたなべ・こうじ 税理士・司法書士。明治大学法学部卒業。総合商社勤務を経て税理士となる。2008年、両親から危機的経営状態のアパート5棟86室を継ぎ、税理士業と並行して経営を立て直す。‘11年、独立開業。税理士・司法書士の強みを活かし、不動産のスペシャリストとして、また大家の視点から賃貸経営のアドバイスを行う。セミナー、講演多数。著書に「ライフサイクルから考える賃貸経営の税務Q&A」、共著に「大家さんのための超簡単!青色申告」がある。
http://www.w-sogo.jp/
http://ameblo.jp/zeirishiohya/(ブログ)

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