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相続・税金
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更新日 : 17/02/20

資産を殖やす「資産組み換え講座」⑩「会社借金の肩代わりと事業転換」

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税理士・中小企業診断士 飯塚美幸

会社の借金と社長の個人保証

甲様はA社の社長として、長年ガソリンスタンドを経営。しかし、長らく連期大赤字で、雪だるま式に増えた銀行借入は3億円、累積欠損金が4億円です。甲様はもともとは地主さんで、会社の借入の個人保証をして資金を会社につぎ込んできました。

「赤字なら税務調査は来ないし、法人税はかからない」と言われ、歯をくいしばって会社を継続。しかし、このままではと、個人の土地を売却して会社借金を整理したいと、ご相談にいらしたのです。

個人資産売却による借金完済と事業再生

問題は土地売却の税金。3億円の返済のために3億円の土地を売っても、税金などで手取りは2億3000万円。これでは債務はなくなりません。

この窮状に対して、個人資産を売却し、保証人の立場に基づいて会社の債務を立替返済しても、債務超過会社から弁済を受けられないという場合には、譲渡収入そのものをなかったものとみなし、譲渡税が非課税とされる特例があります。

厳しい適用条件

ただし、この特例を受けるためには債務保証をした時点で、

①債務者は支払い能力があったか、

②債務者の債務超過状況が相当期間継続したか、

③明らかに債務者の支払い能力がないか、

④代位弁済した社長が会社への求償権を放棄してもなお債務超過か、

⑤債権者から保証人への代位弁済請求がなされたか、

などについて審査されます。A社はクリアできそうです。

会社は潰さなければならないか

しかし、「会社は潰さなければだめなのでしょうか?」と甲様。40年も頑張って続けてきた事業ヘの愛着から、そう言われるのも無理はありません

このような会社のために、国税庁の個別通達(平成14年12月18日)があります。つまり、A社がその求償権の放棄後も存続し、経営を継続していて、

①金融機関への弁済を優先するために甲様は立替分を放棄せざるをえず、②甲様が立替分を免除してもA社がなお時価ベースで債務超過の状況にあるときは、この特例を適用してもよいのです。

甲様は土地を3億で売却、保証人として代位弁済を行い、会社に対する債務を免除後、特例を適用して確定申告。会社の債務免除益は繰越欠損金により非課税となりました。

会社の復活、事業用借地権で土地賃貸に

その後、甲様はガソリンスタンドを閉鎖。跡地を2000万円で整地し、事業用借地権で貸すことにしました。幹線五叉路の立地ですから、十数社のナショナルブランドが一斉に挙手。ところが、甲様は選んだのは、一番賃料の高い会社ではなく、3番目のカーディーラー。やはり車が好きだったのです。

会社は、資産管理会社として順調に稼働し始めました。甲様は今、自分の会社の事業ではなくなったものの、毎日、テナントの自動車展示場を我が子を見るように愛おしそうに眺めています。

※リンク

資産を殖やす「資産組み替え講座」
①再建築不可の旗竿地の蘇生
②賃貸マンションの名義は法人? 個人?
③売却は売りやすい土地から?
④路線価の高い土地と低い土地の交換
⑤未分割法定相続共有の解決
⑥「とりあえず共有相続」の解決
⑦自宅の権利調整
⑧「相続後の有利売却」と利息の経費化
⑨「アパートの贈与」で収益力を増加
⑩「会社借金の肩代わり」と事業転換
⑪「片割れ交換」でWin・Win・Win
⑫売りにくい土地を有利に売るために

(プロフィール)

いいづか・みゆき
税理士、中小企業診断士、事業承継協議会会員、千代田区議会諮問委員、不動産コンサルティングマスター試験委員、成年後見人東京家庭裁判所登録員
静岡生まれ。静岡大学人文学部卒業、平成7年飯塚美幸税理士事務所開業/エクスプレス・タックス株式会社設立、平成22年松木飯塚税理士事務所、平成25年松木飯塚税理士法人設立、代表社員就任、現在に至る。
主著として「小規模宅地特例−実務で迷いがちな複雑・難解事例の適用判断」(清文社)、「税理士のための相続税実務−贈与税各種特例」(中央経済社)、「財産を殖やすための相続対策プログラム」(日本法令)、共著として「平成27年度よくわかる税制改正と実務の徹底対策」(日本法令)、「『資本の部』の実務−改正商法・会計・税務」(新日本法規出版)などがある。

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