賃貸物件のアンチエイジングケアその②「室内」と「建物・設備」対策のポイント
「間取り」「収納」の若がえり
まず、室内でぜひ行いたいアンチエイジグケアについてお話しします。
さまざまな対策や方法がありますが、なかでも重要なポイントとなるのが「間取り」と「収納」です。
●検索にかからない部屋は、存在しないのと同じ
部屋が仕切られた2DKや3DKなどは、家具が思い通りに置けなかったり家族とのコミュニケーションが取りにくかったりします。最近人気の間取りはLDKタイプが主流となっています。それによって、どのようなことが起きているでしょうか?
現在、約8割の人がインターネットで部屋探しを行います。その際、1LDK、2LDKなどで条件入力をするケースが多く、結果的に2DKや3DKは検索にかからなくなっています。立地や物件の状況にもよりますが、そのために間取り変更が必要となっている物件もあります。
●「少ない収納」は、常に不満項目の上
入居者ニーズの調査で、常に不満の上位に挙がるのが収納です。収納は新たに増やせないとお考えのオーナー様もおられると思いますが、それでは入居者に選ばれない部屋になってしまいます
収納は、デッドスペースや壁面を活用するなど工夫次第で増やすことができます。収納が少ない・使いにくい部屋は早急に検討されるとよいでしょう。
ヒントは現場にあり、まずは足を運ぼう
次に、生活するうえで最も基本的な建物や設備について、チェックポイントを具体的にお話しします。
アンチエイジングケアは、現地調査から始まります。そこでまず、オーナー様にやっていただきたいのが物件に足を運び、老化度をチェックすることです。ヒントは現場にあるからです。また、愛情をもって自己物件をチェックできるオーナー様は、現地調査を行う一番の適任者だからです。
物件を見る時は、入居者が快適かどうかという視点に立地、管理状況や健康状態を把握することが大切です。きっと、これまで見過ごしていたことに気づかれるでしょう。現地調査には「建物調査」と「エリア調査」があり、主なポイントは次のとおりです。
●アンチエイジングのための「現地調査」のポイント
1.建物自体
周辺環境の変化、アプローチ、外観、共用部、室内の使用状況、建物(外部、内部、設備等)の劣化状況など
2.管理状況
破損箇所の放置、ゴミ置場(分別違反、粗大ゴミ放置)、敷地まわりのゴミ、雑草の放置、郵便受け(チラシの散乱)、共用廊下に置かれた私物、駐輪場(自転車散乱、所有者不明の自転車)など
●エリア調査のポイント
1.募集条件
家賃・敷金・礼金が周辺相場に比べ適正か
2.ニーズ
ターゲット層のニーズに合っているか
現地を訪れる時はポイントをリストアップして持参しましょう。意識が高まり、一つ一つ確認していくことでチェックのもれを防げます。
※リンク
賃貸物件のアンチエイジングケア
その①物件も人の肌と同じく老化を予防できる
その②「室内」と「建物・設備」の対策ポイント
その③事例.築30年マンションの調査とケア
(プロフィール)
にしむら・さとる 1968年、千葉県生まれ。日本大学生産工学部建築工学科卒業。「物件再生・資産活用」のトータルコーディネーターとして、費用対効果を最善に考えた物件リフォームを数多く手がける。自社物件の管理・経営も行い、セミナー、講演などでも活躍。『リノベーションで、満室経営』(週刊住宅新聞社)、ノウハウ満載の『満室経営DVDセミナーシリーズVol.1』も好評