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相続・税金
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更新日 : 16/05/09

絶対押さえておきたい、相続税の節税対策その②「小規模宅地等の特例」をしっかり使う

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東京メトロポリタン税理士法人
統括代表 税理士 北岡修一

注目したい、財産評価額を減額できる「小規模宅地等の特例」

平成27年度の改正で、ポイントになるのが「小規模宅地等の特例」です。これを有効に活用することで、相続税がかからなくなる人も多いと思われます。

ただし、この特例を使うためには、たとえ相続税を納税する必要がなくなっても、相続税の申告書を提出する必要がありますので覚えておきましょう。

●事業用宅地や居住用宅地の評価額は、5分の1に

「小規模宅地等の特例」は、A事業用宅地(特定同族会社の事業用宅地も含む)、B居住用宅地(自宅)、C貸付用宅地のそれぞれについて、評価額を一定面積まで一定割合減額できるというものです。

事業用宅地や居住用宅地は、なんと80%も評価減になりますから、この特例を使えば通常評価額の5分の1になるのです。こんなに優遇される特例を使わない手はありませんね。

用地ごとに適用要件が異なる

この特例を使うには、以下の適用要件をクリアしなければなりません。

●事業用宅地:後継者が土地を継続保有すること

基本的には後継者が事業を引き継いだ上で、その土地を継続保有するという要件があります。問題は後継者がいるかどうかですね。親が事業を行っているなら、相続税の節税のためにも後継者を早めに決めておくことが重要です。

法人(同族会社)化して事業を行っている場合は、後継者が役員であること等の要件を満たせば適用が可能です。

●居住用宅地:配偶者がいる場合は無条件に適用される

こちらは、少し複雑です。配偶者がいる場合は、配偶者が居住用宅地を相続すれば無条件に適用を受けられます。しかし、配偶者がいない、または配偶者が居住用宅地を相続しない場合は、同居親族が相続して継続所有・居住していけばよいことになります。

・「家なき子」は適用を受けることができる

よく問題になるのが、配偶者が既に他界し、子供たちも独立して家を出ており、被相続人が1人で住んでいて相続が発生した場合です。同居親族がいないため、適用されない可能性があります。

ただし、独立した子供が通称「家なき子」に該当すれば、適用対象となります。「家なき子」とは、相続前3年間、自己または配偶者の持ち家に住んでない子をいいます。つまり、独立していてもマイホームを持っていなければよいことになります。

●貸付事業用宅地:賃貸住宅や駐車場も対象になる

アパートやマンションなどの敷地の他、事業として行っている駐車場も対象となります。こちらも貸付事業を承継し、土地を継続保有するという要件を満たすことが要件となります。貸家建付地の評価減を行った上で、さらに評価減されるのですから、優遇されていると言えます。

小規模宅地の適用要件と減額割合は、下記のとおりです。

小規模宅地の特例の適用要件と減額割合一覧

A.特定事業用宅地、特定同族会社事業用地

適用要件:事業を承継し、かつ土地を継続保有した場合

適用面積:400㎡まで

減額割合: 80%

B.特定居住用宅地

適用要件:①配偶者が相続、②同居親族が相続し継続居住、③家なき子※が相続し保有、④同一生計親族の居住用であること

適用面積:330㎡まで

減額割合: 80%

C.貸付事業用宅地

適用要件: Aの要件、かつ青空駐車場は対象外で、最低アスファルト舗装が必要

適用面積:200㎡まで

減額割合: 50%

※家なき子とは、相続前3年間、自己または配偶者の持ち家に住んでいない子のこと。ただし、適用が受けられるのは被相続人の配偶者および同居親族がいない場合に限る。

適用面積や対象が大きく改正された

「小規模宅地等の特例」を利用するには面積に限度がありますが、その面積についても、平成27年から大きく改正されました。

●居住用宅地は面積も対象も適用が拡大

一つは「B居住用宅地」の面積が、240㎡から330㎡に拡大されました。つまり、100坪まで80%の評価減ができ、広い自宅でも十分適用可能になりました。

また、この特例は同一生計親族の居住用宅地にも適用することができます(表3Bの④)。たとえば親と子の生計が同一なら、親の自宅だけでなく子の居住用宅地も評価減されます。つまり、居住用宅地は親の住宅一つに限らないのです。

●「事業用」と「居住用」はフルに評価減される

さらに、もう一つ改正があります。従来、表3のABCの3つの宅地は個々の面積要件の範囲内で適用されますが、合計面積に対しては縛りがありました。それが平成27年1月以降は、「A事業用宅地」と「B居住用宅地」に限り、フルに評価減されることになりました。「A事業用宅地」は400㎡、「B居住用宅地」は330㎡まで、いずれも80%評価減できるのです。

今後は、事業用宅地と居住用宅地の評価減をいかに活用するかが、相続税引き下げの大きなポイントになります。

※リンク
絶対押さえておきたい、相続税の節税対策その①所有財産の概算評価をしよう
絶対押さえておきたい、相続税の節税対策その②「小規模宅地等の特例」をしっかり使う
絶対押さえておきたい、相続税の節税対策その③法人設立は、相続税・所得税対策に有効

(プロフィール)
きたおか・しゅういち 1957年生まれ。税理士。東京メトロポリタン税理士法人統括代表。立教大学経済学部卒業。’80年税理士試験合格。会計事務所勤務を経て’83年独立。’90年東京メトロポリタン・コンサルティング・グループ(株)代表取締役に就任。2009年より現職。不動産会社の顧問、世話役等を通じて不動産関連の相談、対策、申告に豊富な実績を持つ。『社長の「闘う財務」ノート ~ 社長の数字力が会社を鍛える』(プレジデント社)ほか著書多数。

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