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更新日 : 16/12/19

賃貸市場のトレンドを読み解く⑤入居者の生活水準は上がっていない

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プリンシプル住まい総研 所長 上野典行

給与所得は10年間で13%近くダウン

アベノミクスで景気は好調とするなら、家賃も強めに上げたいところです。新築建設の材料費も職人の人件費も上がっていますし、日々の物件のメンテナンスコストもかさんでいます。しかし今、家賃は上げられるのでしょうか?

「国税庁民間給与実態統計調査」によると、国民の平均給与は平成10年の465万円をピークに、平成21年には406万円まで12.7%も落ち込んでいます。わずか約10年で、給与所得は極端に下がっているのです。

アベノミクスは「景気が改善し、給与所得も上がり、消費も上向く」という好循環を期待する施策であり、経団連なども賃金アップを約束しています(平成28年10月31日現在)。

賃貸入居者の経済状態は厳しい

これだけ給与が下がっても、我が国では大きなストライキなどは起きていません。生活者が「景気が悪いから残業が減少したりボーナズがダウンするのはやむを得ない」と受け止めているのです。

また、女性が結婚・出産などで退職し、やがて職場復帰する際に、パートなどの非正規雇用でないと仕事が少ないことも所得減少の一因なのでしょう。特に賃貸入居者の生活は経済的になかなか厳しく、家賃を上げるのは難しいのが実情です。

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より安い物件から満室になっていく

今後、景気回復などにより給与所得が上がっていくかもしません。仮にそうだとしても賃貸経営において、もう一つ厳しい要素があります。それは需給バランスの変化です。

平成27年をピークに、これまで増え続けていた世帯数は減少に転じます。部屋を借りる人が減っていくのです。一方で賃貸物件の新築建設は堅調であり、皆様の物件はまた1年古くなります。その中で周囲の物件と戦っていかなければなりません。今後は、人口増加が前提での競争とは異なり、同じ品質の物件であれば、より安い物件が先に満室になっていくことは否めません。

家賃を維持するために、付加価値のアップを

とはいえ、できる限り家賃は下げたくはないもの。1住戸で家賃が1万円下がれば、10戸で年間120万円の利益損失となります。家賃アップが難しくとも、できる限り周囲の物件よりも競争力を上げていきたいものです。

例えばWiFi接続対応の物件であれば、入居者にとっては生活費が軽減でき、魅力的です。家賃を維持するためにも、物件の良さを磨き、設備の入れ替えやリフォームの実施などにより、付加価値をつけていき「選ばれる物件」となることが必要です。

家賃を「上げるため」ではなく、「維持するための」ディフェンス策が必要な時代なのです。

※リンク

賃貸市場のトレンドを読み解く
①あなたの物件は、男性向き?女性向き?
②賃料値下げより、付加価値のアップを!
③「貸してあげる」から「借りていただく」に
④ページビューから見える入居者の本音
⑤入居者の生活水準は上がっていない
⑥今どきの大学生の事情
⑦同棲カップル入居時の注意
⑧LDKはなぜ人気なのか
⑨震災を境に変わった部屋探しの条件
⑩今どきの入居者が求める設備
⑪入居者に選ばれる不動産会社と付き合う
⑫家賃滞納、とるべき対策は?
⑬初期費用の低減はどこまで行くか?

(プロフィール)

うえののりゆき 慶應義塾大学卒業後、リクルート入社。住宅情報誌編集長、スーモ等の商品・事業開発責任者、賃貸営業部長などを歴任し、2011年退社。
翌年よりプリンシプル・コンサルティング・グループにて現職。生活情報サイトAll Aboutの「賃貸」「土地活用」ガイド。全国で講演・執筆・企業コンサルティングを行う。http://www.principle-sumai.com/

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