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相続・税金
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更新日 : 16/12/12

資産を殖やす「資産組み換え講座」⑨「アパートの贈与」で、収益力を増加

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税理士・中小企業診断士 飯塚美幸

所得税の最高税率は55%

甲様の父上(80歳)は、不動産収入などで所得税は最高税率に。つまり、所得が4000万円以上ですと、所得税45%+住民税10%+事業税5%=60%です。そして税引後の手取り額は、父上の資産として蓄積され、将来の相続時には相続税最高額55%の課税を受けてしまいます。

甲様と父上は税金の重さに悲鳴を上げて資産の評価資産を行いました。そして、築15年の木造のアパート数棟は、固定資産税評価が下がっていることを発見。木造家屋は新築時で建築価格の2〜3割、その後、経年減価するからです。設備の償却が終わるので、今後は税金負担も激増します。

建物贈与は、収益力の贈与

そこで甲様は父上にアパート贈与を受けることを発案。評価額300万円のアパートは、7割の貸家評価後の210万円が贈与税の課税価格で、110万円の基礎控除後の贈与税はなんと10万円。

このアパートの賃料は年500万円ですから、贈与税10万円で年500万円の貸家の贈与が可能に。敷金83万円は、負担付き贈与とされないために、父上から甲様に現金の引き継ぎをします。

貸家建付地評価減額を継続するには

ところで、建物は甲様に写せても、父上所有敷地は評価額が高価なため、とても贈与できません。現在敷地は貸家建付地として自用地価額の約8割評価です。しかし、建物贈与後、いったん甲様は父上と従来の入居者との原契約を承継しますが、その後、入居者が退去すれば、甲様が新しい入居者と契約することに。その場合、父上と旧入居者との原契約は終了してしまいますから、父上の土地は貸付建付地とはならなくなる、つまり、自用地価額まで評価アップになってしまうのです。

それを避けるために、父上は予めサブリース会社に建物を一括賃貸をします。そして、入居者→サブリース会社→父上と言う賃貸借の形で建物を贈与すれば、入居者が変わっても、サブリース会社への賃貸という原契約は承継され、父上の敷地は貸家建付地評価の継続が可能に。しかも、入居率にかかわらず、100%賃貸となるのです。

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所得分散と相続対策の一挙対策に

このサブリース会社は外部業者でもよいのですが、甲様が新たに設立する同族法人でもOKです。

父上は、まずA棟を甲様に贈与。なるほどと得心したところで、将来争いにならないように、B棟やC棟を他の二人の妹様に贈与。アパート収入を分散したため父上の所得税も将来の相続税も減少。こうして、父上の所得分散と相続対策の二兎を追うことができたのです。

さらに、ご自分の物件が運用されていくために、父上は、今度は甲様に同族会社の設立を指示。税金のために4分の3を失うと思っていた父上は、資産承継のプランができて、今や以前より意気軒昂。財産保全の意欲満々です。

※リンク

資産を殖やす「資産組み替え講座」
①再建築不可の旗竿地の蘇生
②賃貸マンションの名義は法人? 個人?
③売却は売りやすい土地から?
④路線価の高い土地と低い土地の交換
⑤未分割法定相続共有の解決
⑥「とりあえず共有相続」の解決
⑦自宅の権利調整
⑧「相続後の有利売却」と利息の経費化
⑨「アパートの贈与」で収益力を増加
⑩「会社借金の肩代わり」と事業転換
⑪「片割れ交換」でWin・Win・Win
⑫売りにくい土地を有利に売るために

(プロフィール)
いいづか・みゆき
税理士、中小企業診断士、事業承継協議会会員、千代田区議会諮問委員、不動産コンサルティングマスター試験委員、成年後見人東京家庭裁判所登録員
静岡生まれ。静岡大学人文学部卒業、平成7年飯塚美幸税理士事務所開業/エクスプレス・タックス株式会社設立、平成22年松木飯塚税理士事務所、平成25年松木飯塚税理士法人設立、代表社員就任、現在に至る。
主著として「小規模宅地特例−実務で迷いがちな複雑・難解事例の適用判断」(清文社)、「税理士のための相続税実務−贈与税各種特例」(中央経済社)、「財産を殖やすための相続対策プログラム」(日本法令)、共著として「平成27年度よくわかる税制改正と実務の徹底対策」(日本法令)、「『資本の部』の実務−改正商法・会計・税務」(新日本法規出版)などがある。

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