「長期入居」に向けた、入居者の声の聞き方その③ 一戸建てマイホームの環境に近づける
カセイ有限会社 代表取締役/ 賃貸オーナー 宮城 裕
物件でのイベントはさりげなく、お金をかけすぎず・・・
長期入居の視点から、物件でのイベントについて私は次のように考えています。
何を嬉しいと思うかは入居者様により異なりますので、オーナーがイベントなどを企画する際は、過剰サービスや自己満足にならないことが大切だと思います。
例えば、植栽にクリスマスイルミネーションを飾る場合、入居者様に喜んでもらうことが目的なので、とても控えめにしています。道行く人が立ち止まるほど立派だと、「不特定多数の人が見に来て不用心だ」と感じる入居者様もおられるかもしれません。住み心地の悪さは、退去の原因になります。
肝心なことは、あくまでもさりげなくお金をかけ過ぎないことです。いろいろな考え方があると思いますが、入居者様にとってもオーナーにとっても、楽しく優しく継続できるイベントを心がけています。
子供たちが友だちに自慢できる賃貸住宅
そんな私が行っているささやかなイベントの一つが、ハロウィンの日のお菓子サービスです。ファミリー向けマンションの1階にコーナーを作ってお菓子を置き、なくなると追加して、子供たちに1日中お菓子食べ放題にしています。費用はせいぜい3000円程度。入居している子供たちは、近所の友だちを呼んできて自慢することもあります。
賃貸住宅に住んでいる子供が一戸建てに住んでいる子供に楽しそうに自慢している姿を見ると、つい嬉しくなります。
入居者の多くは持ち家に憧れている
「持ち家は人生のゴール」という考え方はだいぶ薄れてきたとはいえ、入居者様の多くは持ち家(特に一戸建て)に憧れを持っています。長期入居していただくためには、できるだけ一戸建ての環境に近づけることが、今後の課題だと思います。
賃貸住宅のデメリットを考えてみて、他の賃貸住宅では規制されていることを許可するなどのアイデアも有効です。例えば、「猫好き女性のためのアパート」にするとか、休日は駐車場の水栓を開放して洗車し放題にするなども面白いと思います。
また、他の入居者の迷惑にならない程度なら、入居年数や入居者個人への信頼度によって許容範囲を変えることも長期入居者獲得への重要な考え方だと思います。
安心感や信頼感など、目に見えない部分が大切
入居者様が「長く住みたい」と思うかどうかは、最終的には住み心地で決まると思います。それには、安心感や信頼感など目に見えない部分が影響しています。常に入居者様の利益を考えて賃貸経営を行うことが、今後ますます大切になると思います。
最後に、長期入居者を増やしていくための5カ条を記載しておきましょう。
<長期入居のための5カ条>
・入居者の声は、直接聞き取る !
・クレームこそ、長期入居のチャンス !
・クレームのない入居者にも要望はある !
・退去の芽は、素早く刈り取る !
・管理会社と強力タッグを組む !
※リンク
「長期入居」に向けた、入居者の声の聞き方その①入居者の要望を聞き出すにはコツが要る
「長期入居」に向けた、入居者の声の聞き方その②一番大切なことは「クレームの処理」
「長期入居」に向けた、入居者の声の聞き方その③一戸建てマイホームの環境に近づける
(プロフィール)
みやぎ・ゆたか 1964年沖縄生まれ。カセイ有限会社代表取締役。専門学校・短大を卒業後、自動車学校教官を経て、2000年に父親の物件を管理することになり不動産業界へ転身、‘09年、一般財団法人日本不動産コミュニティーの講師として沖縄で大家さん向けセミナーを開始。‘10年「沖縄大家塾」を開講。‘12年『空室対策のすごい技』(日本実業出版社)を共著出版。