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空室対策・リフォーム
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更新日 : 16/10/17

賃貸市場のトレンドを読み解く③「貸してあげる」から「借りていただく」に

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プリンシプル住まい総研 所長 上野典行

東京ですら、人口が減る時代がやってくる!

増加を続けてきた世帯数が、今後は「減少」に転じます。しかし、これからも賃貸物件の供給は続き、空室が増加すると予測されています。厳しさを増す賃貸市場の中で、生き残るためにどんなことを心掛けるべきか、考えてみたいと思います。

国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の将来推計人口(2012年1月)」によれば、わが国の総人口は長期にわたって減少が続きます。現時点で東京・神奈川・沖縄を除く44道府県では減少に転じ、今後は全ての都道府県で減少していきます。

30年後には、日本の人口は16・2%減少すると予測されています(表1参照)。都道府県別に見ても、増加するところは皆無です。東京都ですら人口が減るというこの環境変化は、全国の賃貸経営に大きなインパクトを与えるものです。

世帯数が減っても、住宅数は増えていく

これまでは、人口が増える前提で国も物件供給を推進してきました。実際、人口の増加以上に世帯数の増加スピードが速く、住宅建築の推進は日本経済の活性化の必要条件となっていました。

その背景には、磯野家とフグ田家が同居するサザエさんのような家庭が減少し、核家族化が進み、単身者やDINKSが増加したことなどがあります。それが賃貸市場を支えてきたのです。

しかし、その世帯数も今後は減少に転じ、住宅数との差が大きくなり、その分が間違いなく空室になっていきます(図1参照)。

図1

新築物件の供給の勢いは、今後も続くのか?

新築の賃貸物件供給の勢いが今後も続くかどうかは、意見が分かれています。「世帯数の減少に伴い、建築ニーズが減少する」との見立てがある一方で、2015年の増税後も賃貸物件だけは前年比で供給が増えていることから、「相続対策などで賃貸物件建設の意欲は持続する」との読みもあります。

しかし、既存物件は残り、新たに物件が建設される以上、年々「物件が増え」「人口は減る」ことは確実です。入居者獲得競争は、より激化するでしょう。

逆境をバネに差別化した物件が、全国で誕生

こうした環境下では、魅力的な物件はその競争力で満室となり、努力を怠る物件は、ますます空室が増える「二極化」が進むと思われます。

物件の競争力は、①立地、②築年数、③賃料、④付加価値、⑤広告などで定義されていますが、後者になるほど供給側の努力の差が出やすくなります。

現状の賃貸ビジネスでは、実は苦戦している地方ほど、優れた工夫が生まれています。逆境をバネに差別化を図り、競争に打ち勝つ取り組みが全国で始まっています。様々な競争が激しさを増す中、「貸してあげる」より「借りていただく」発想で、全国の知恵や工夫を積極的に学ぶことが必要と言えるでしょう。

※リンク

賃貸市場のトレンドを読み解く
①あなたの物件は、男性向き?女性向き?
②賃料値下げより、付加価値のアップを!
③「貸してあげる」から「借りていただく」に
④ページビューから見える入居者の本音
⑤入居者の生活水準は上がっていない
⑥今どきの大学生の事情
⑦同棲カップル入居時の注意
⑧LDKはなぜ人気なのか
⑨震災を境に変わった部屋探しの条件
⑩今どきの入居者が求める設備
⑪入居者に選ばれる不動産会社と付き合う
⑫家賃滞納、とるべき対策は?
⑬初期費用の低減はどこまで行くか?

(プロフィール)

うえののりゆき 慶應義塾大学卒業後、リクルート入社。住宅情報誌編集長、スーモ等の商品・事業開発責任者、賃貸営業部長などを歴任し、2011年退社。
翌年よりプリンシプル・コンサルティング・グループにて現職。生活情報サイトAll Aboutの「賃貸」「土地活用」ガイド。全国で講演・執筆・企業コンサルティングを行う。http://www.principle-sumai.com/

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