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相続・税金
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更新日 : 16/08/08

「家族を幸せにする遺言書」のつくり方その②不満が残らない財産の分け方とは?

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有限会社アルファ野口 代表取締役
相続コーディネーター 野口賢次

特定の人に財産を残すときに注意したいこと

特定の家族に、より多くの財産を残したいというケースはほかにもあります。代表的なのが配偶者への相続です。しかし、遺言書がないとそれが叶わないこともあります。

事例2「妻に全財産を相続したいケース」

Aさんは4人兄弟の長男。長年苦楽を共にしてきた妻との間に子供はいません。両親はすでに他界しているので、Aさんは自分の死後、全財産が妻へいくと信じて疑いませんでした。

しかし民法では兄弟も相続人になると知り、びっくり。妻に全てを相続するため遺言書をつくりました。兄弟には遺留分の権利がないので、この遺言書で妻は全財産を相続できます。これはこれでよいでしょう。

しかし、もしA家が代々の地主や旧家だったらどうでしょう? 先祖から受け継がれてきた財産が、Aさんの遺言書一つで妻の実家側へ流れてしまいます。

遺言書作成にあたっては、愛情だけでなく、財産がどのような過程で築かれてきたか、ルーツを考慮することも大切です。場合によっては、ある程度は妻へ、残りはA家側に渡す配慮も必要かと思います。

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「付言事項」は最後のラブレター

財産を「公平」に分けたつもりでも、家族の不満が生じてしまうケースは珍しくありません。

そんな事態を防ぐために有効なのが、「付言事項」です。これは、遺言書の本文の後に、分け方の理由や家族への思いなどを自由な形式で記載するものです。法的拘束力はありませんが、主柱である本文を、しっかりと支える支柱の役目をします。「付言事項」の有無によって、相続の結果が大きく異なった例があります。

事例3「付言事項が、明暗を分けたケース」

BさんとCさんの遺言書は、どちらも後妻に全財産を残すという内容でした。

Bさんの遺言書には残された後妻への心配とともに、前妻の子を我が子同様にかわいがってくれたことへの感謝が切々と綴られていました。一方、Cさんの遺言書には「付言事項」がありませんでした。

その結果、Bさんは円満に相続できたのですが、Cさんは前妻の子から遺留分(法的に認められた取り分)を請求されてしまいました。

家族の心に届く「付言事項」の文例

以下に「付言事項」の文例をあげておきますので、参考にしてください。

被相続人は母、法定相続人が長女、二女、三女の事例です。

<文例>

「三女の泰子は、認知症の父さんを長いあいだ介護してくれました。父さんの死後は、一生懸命に私の世話をしてくれています。

そのため、泰子は婚期を逃してしまいました。泰子を私たち夫婦の犠牲にしてしまったような気がしてなりません。私亡き後、ひとり身の泰子のことが心配です。

私の財産は、自宅の土地と建物だけです。これを泰子が相続し、お金に換えて泰子の老後のために役立ててほしいと思い、遺言書をつくりました。他の娘たちもどうか母さんの気持ちをわかってください」

こうした「付言事項」があれば、残された家族が争うことなく収まることでしょう。

※リンク
「家族を幸せにする遺言書」のつくり方その①相続における「平等」と「公平」とは?
「家族を幸せにする遺言書」のつくり方その②不満が残らない財産の分け方とは?
「家族を幸せにする遺言書」のつくり方その③思いがけない、相続の落とし穴!

(プロフィール)
のぐち・けんじ 50歳を契機にガソリンスタンド経営から相続の実務家へ転身した異色の存在。「相続特化型不動産業」をビジネスモデルとして確立し、相続人の幸せを守る「心の相続」を提唱。多数の実績をもつ相続コンサルティングの第一人者。相続実務学校「野口塾」塾長、NPO法人相続アドバイザー協議会副理事長として、実務家養成にも情熱をそそぐ。『心をつなぐ相続』ほか著書も多数。

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