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相続・税金
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更新日 : 16/08/01

「家族を幸せにする遺言書」のつくり方その①相続における「平等」と「公平」とは?

有限会社アルファ野口 代表取締役
相続コーディネーター 野口賢次

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一通の遺言書が家族の心を一つにする

相続は、法律や財産に人の心が関係してくる複雑でデリケートな手続きです。

長年、相続コーディネーターとして数々のお手伝いをしてきましたが、一通の遺言書が家族の方々の心を一つにする場面を何度も見てきました。

遺言書の有無や内容によって、相続人の人生は大きく変わります。財産を活かし、家族を幸せにする遺言書をつくるにはどうすればよいのか?

残された家族に思いを伝え、資産を円満に受け継ぐための遺言書の考え方・つくり方についてお話しします。

遺言書の本来の目的とは?

遺言書の目的を尋ねると、専門家を含め多くの人は「争続を防ぐため」と答えるでしょう。確かに、遺留分を考慮した遺言書があれば法的に争う余地はないでしょう。

しかし、遺言書の内容が、ある相続人にとって理不尽だったり、心情にそぐわないものであれば兄弟げんかになり、最悪の場合は縁が切れてしまいます。法的には解決しても、兄弟間にできてしまったしこりは深刻です。

遺言書は本来、相続人全員を幸せにするためのものです。この点を忘れずに、相続人一人一人の思いに配慮しつつ、大局的な視点に立ってつくることが大切です。

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「平等」な遺産分割が「公平」とは限らない

戦後の民法改正(1947年)で相続制度が長男による家督相続から、子供が平等に相続権を持つ均分相続に変わり、約70年になります。しかし、「平等」な遺産分割が、必ずしも「公平」とは限らないのが相続の難しいところです。

「平等」と「公平」の違いは、お正月のお年玉をイメージするとわかりやすいと思います。「平等」とは、高校生の長男に1万円あげるなら、中学生の二男、小学生の三男にも同額を渡すことです。しかし、実際にはそんな親はいないでしょう。子供の成長度合いに合わせて高校生には1万円、中学生は5000円、小学生は3000円などとするのが「公平」というものです。

では、相続における「平等」と「公平」について、事例とともにお話ししましょう。

●事例1.「平等が不公平になったケース」

母親はすでに他界しており、相続人は3人の子。遺産は自宅兼店舗とその土地です。長女は嫁いで他県に住み、長男は独立してサラリーマン。二男夫婦が自宅兼店舗で両親と同居し、母親を看取った後、父親の介護をしながら家業の食堂を続けていました。

「均分相続」をすれば、3人が3分の1ずつ相続することになり、二男は仕事場と住居を一度に失うことになります。これを「公平」といえるでしょうか?

介護は「寄与分」に反映されない

民法には寄与分制度(被相続人の商売を手伝うなど財産の維持・増加に寄与した相続人に相続分をプラスする制度)がありますが、介護がそれと同様に認められることはほとんどありません。

親孝行をしてくれた二男の相続分を増やし、生活基盤を守ることができる唯一の方法は、父親が遺言書を作成することなのです。

※リンク
「家族を幸せにする遺言書」のつくり方その①相続における「平等」と「公平」とは?
「家族を幸せにする遺言書」のつくり方その②不満が残らない財産の分け方とは?
「家族を幸せにする遺言書」のつくり方その③思いがけない、相続の落とし穴!

(プロフィール)
のぐち・けんじ 50歳を機にガソリンスタンド経営から相続の実務家へ転身した異色の存在。「相続特化型不動産業」をビジネスモデルとして確立し、相続人の幸せを守る「心の相続」を提唱。多数の実績をもつ相続コンサルティングの第一人者。相続実務学校「野口塾」塾長、NPO法人相続アドバイザー協議会副理事長として、実務家養成にも情熱をそそぐ。『心をつなぐ相続』ほか著書多数。

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