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空室対策・リフォーム
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更新日 : 16/07/25

賃貸市場のトレンドを読み解く②賃料値下げより、付加価値のアップを!

プリンシプル住まい総研 所長 上野典行

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リーマンショックで、23区の賃料は約25%ダウン

「賃料を下げないと空室が埋まりませんよ」と言われたらどうしますか?

今回は、最新の家賃相場の動きについて見ていきます。

東日本不動産流通機構の調査「首都圏賃貸居住用物件の取引動向」を見ると、2008年9月のリーマンショックをきっかけに、12万3000円(2008年)から9万4000円(2013年)に、ざっと2万9000円のダウン。5年間で約25%も下がったことになります。

一方、国民の給与所得も景気低迷の影響を受け、1998年以降、徐々に下がっています。決して、リーマンショック後に急落したわけではありませんでした。つまり、平均給与水準の下落と、賃料下落のタイミングは一致していないのです。なぜ、賃料だけが短期間で大きく下落したのでしょうか。

海外から来た富裕層と労働者の帰国

リーマンショック後、まず動いたのは海外から来ていた富裕層。彼らが一気に帰国し、山手線内の高級賃貸が空きました。当然、空いたままでは賃料確保ができず、都心の募集賃料が下がります。すると、今度は近県の千葉・神奈川・埼玉から「都心が安くなった」と移動する都心回帰が起こり、近県の家賃も下落。まるでドミノのように賃料相場が下がっていったのです。

また、リーマンショック以降、地方の外国人労働者や派遣労働者が多数解雇され、日比谷公園で「派遣村」ができたのもこの頃。多くの外国人労働者が帰国し、工場周辺が一気に空室になり、賃料相場が下がったのです。

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「上げられない」、しかしもう「下げられない」

ところで、今後も家賃相場は下がり続けるのでしょうか?

実は、相場は下がったものの、これ以上賃料がダウンすると利回りが確保できません。仮に表面利回り10%でローンを設定した物件の場合、賃料が10%減ってしまっては、投資として厳しいのです。

現在、土地価格は上昇傾向にあり、材料輸入経費は高騰、オリンピック需要で職人の人件費も高騰しています。これ以上の賃料値下げ競争は、ビジネス構造として耐えられない可能性があるのです。

部屋の面積を狭くして賃料を抑え、利回りを確保した新築が増えたことも、上昇の一因と推測されます。

今後も築古物件はさらに賃料下落の可能性がありますが、新築を中心に建築の費高騰から、高め賃料の物件も出ています。いずれその物件も築年が経過し苦戦が予測されます。今後はさらに設備や間取りなど付加価値で競争する時代になっていきます。

安易な値引きの前に、物件の魅力を再度見直すべきでタイミングなのです。

※リンク

賃貸市場のトレンドを読み解く
①あなたの物件は、男性向き?女性向き?
②賃料値下げより、付加価値のアップを!
③「貸してあげる」から「借りていただく」に
④ページビューから見える入居者の本音
⑤入居者の生活水準は上がっていない
⑥今どきの大学生の事情
⑦同棲カップル入居時の注意
⑧LDKはなぜ人気なのか
⑨震災を境に変わった部屋探しの条件
⑩今どきの入居者が求める設備
⑪入居者に選ばれる不動産会社と付き合う
⑫家賃滞納、とるべき対策は?
⑬初期費用の低減はどこまで行くか?

(プロフィール)

うえののりゆき 慶應義塾大学卒業後、リクルート入社。住宅情報誌編集長、スーモ等の商品・事業開発責任者、賃貸営業部長などを歴任し、2011年退社。
翌年よりプリンシプル・コンサルティング・グループにて現職。生活情報サイトAll Aboutの「賃貸」「土地活用」ガイド。全国で講演・執筆・企業コンサルティングを行う。http://www.principle-sumai.com/

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