LIXILリアルティ.comスマート不動産オーナーズ

相続・税金
LINEで送る

更新日 : 16/07/18

資産を殖やす「資産組み換え講座」⑧「相続後の有利売却」と利息の経費化

bc0e5a0a438b321594ed1d73d29f330c_s

税理士・中小企業診断士 飯塚美幸

一枚の土地も手放さないことを課題に

H様のご相続は、総資産20億円について5億円の納税額です。H家は本家として17代目。ご長男は、家と土地を守ることを第一の主眼として、とにかく一枚の土地も手放さないことを至上課題として、幾多の逆境のなか、相続対策を進めてこられました。

相続税の支払い延納を選択したら

相続税は金銭一括納付できなければ、金融機関から借りて払うか、相続税の分割払いである延納を選択するしかありません。物納は、値下がり後に買い戻す保証がなければ、事実上の売却です。

物納は選択しがたいと感じたH様は、迷わず延納を選びました。

延納利子税は、0.8パーセント

遺産に占める不動産等の割合が4分の3以上の場合、延納の利子税は0.8%。「一見低いのですが、経費で落とせないため、税引後の生活費から払います。所得税の高いH様の場合、市中金利換算では約2%です。体感金利は、実は重いのです。

61bfef75a68773d0cfe0c6258ae3da88_s

相続税額の譲渡経費化で無税売却

ところで、相続後に相続財産を3年10カ月以内に売却した場合には、平成26年末までの相続については、相続税額を譲渡税の取得費とする特例があります。土地を売却する場合は、土地の税額全額を取得費とします。H様は、そこで一計。

金利の低いうちにご自身の同族法人が金融機関から借り入れし、相続資産のうち、一番収益の良い物件を買い取ります。建物は帳簿価格で買いますから譲渡税は出ません。

土地は、取得費加算を使えるぎりぎりまでの約4億円か、建物敷地の借地権部分を買い取ります。

相続土地はほとんどが含み益ですので、通常の法人への譲渡ですと売価の95%の20%の譲渡税がかかりますが、ここで譲渡税ゼロラインを狙います。

法人負担の不動産取得税や登録免許税は、建物だけが対象となります。借地権は非課税なのでコストは低廉です。

支払利息を法人経費化し、二次相続対策にも

法人の買い取った建物は中古建物ですから、個人のときより耐用年数を短縮し、経費化のスピードを上げます。次の相続時は、個人資産は底地のみ。法人はすでに株式になっていますから、法人に資産を移転し、収益が蓄積されても、もはや次の相続税の対象Bにはなりません。

こうして、H様は相続税という試練を逆手にとって、相続だからこそ認められる特例を最有効活用しました。通常では、譲渡税負担が障壁となって実行が困難な収益資産の法人移転と、所得分散を成し遂げたのでした。

※リンク

資産を殖やす「資産組み替え講座」
①再建築不可の旗竿地の蘇生
②賃貸マンションの名義は法人? 個人?
③売却は売りやすい土地から?
④路線価の高い土地と低い土地の交換
⑤未分割法定相続共有の解決
⑥「とりあえず共有相続」の解決
⑦自宅の権利調整
⑧「相続後の有利売却」と利息の経費化
⑨「アパートの贈与」で収益力を増加
⑩「会社借金の肩代わり」と事業転換
⑪「片割れ交換」でWin・Win・Win
⑫売りにくい土地を有利に売るために

(プロフィール)
いいづか・みゆき
税理士、中小企業診断士、事業承継協議会会員、千代田区議会諮問委員、不動産コンサルティングマスター試験委員、成年後見人東京家庭裁判所登録員
静岡生まれ。静岡大学人文学部卒業、平成7年飯塚美幸税理士事務所開業/エクスプレス・タックス株式会社設立、平成22年松木飯塚税理士事務所、平成25年松木飯塚税理士法人設立、代表社員就任、現在に至る。
主著として「小規模宅地特例−実務で迷いがちな複雑・難解事例の適用判断」(清文社)、「税理士のための相続税実務−贈与税各種特例」(中央経済社)、「財産を殖やすための相続対策プログラム」(日本法令)、共著として「平成27年度よくわかる税制改正と実務の徹底対策」(日本法令)、「『資本の部』の実務−改正商法・会計・税務」(新日本法規出版)などがある。

ページの一番上へ