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相続・税金
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更新日 : 16/05/23

「ケース別・絶対見逃したくない相続税の節税対策」事例①老朽化物件の建て替えによる節税

東京メトロポリタン税理士法人
統括代表 税理士 北岡修一

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 相続税評価の基本は「現金より不動産で持つ」

相続税が増税され、節税は不動産オーナーにとって待ったなしの状況になっています。節税にはさまざまな方法があります。代表的な事例を検証しつつ、節税ノウハウとその効果についてお話しします。

その前に、一つ覚えておいていただきたいことがあります。

賃貸経営をされているオーナーの方々はよくおわかりのことと思いますが、相続税対策を考えるなら、財産を現金預金より不動産で持つことは有効な対策です。

それは、不動産の相続税評価額が現金預金よりかなり下がるからです。下記、計算式「土地建物の相続税の評価の基本」を参照してください。

計算式「土地建物の相続税の評価の基本」

<土地の評価>

①自用地:時価の80%以下(宅地は通常、路線価で評価される)

②貸家建付地:アパートなど賃貸物件を建てると、自用地評価の約80%に評価減。さらに小規模宅地等の特例をフルに活用できると50%の評価減となる
→貸家建付地の相続税評価は、時価×80%×80%×50%=32%

※小規模宅地等の特例をフルに使えると、貸家建付地の評価は何と約3分の1になる。

<建物の評価>

①  建物:固定資産税評価額は、建築費のおおむね40%〜50%
※固定資産税評価額で評価される

② 貸家:建物評価の70% ※貸家とはアパート、マンション等のこと
→貸家の相続税評価は、建築費×(40%〜50%)×70%=28%〜35%

※貸家の評価は、なんと3分の1になる。

結論を言いますと、現金預金で土地を購入し、アパート・マンションを建てて賃貸すると、相続税評価額が3分の1になるケースがあります(小規模宅地等の特例をフルに使用した場合)。今回ご紹介の事例にも関係しますので、念頭に置いておいてください。

〈事例1〉老朽化したアパートを建て替え、家賃もアップ

Aさん( 70代女性)は、老朽化して入居率が悪くなったアパートに悩んでいます。修繕や増改築も検討しましたが、現金預金が約1億5000万円あるため、相続税対策も兼ねて新しく建て替えることにしました。その結果、収益性が高まった上、相続税約2000万円の節税が可能となりました。

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老朽化アパートを建て替えたAさんの例

対策前

対策後

対策のポイント

①建て替え費用の調達は自己資金と、アパートローンの併用で

老朽化したアパートを取り壊し、賃貸需要が見込め、かつ家賃もアップできる3階建てアパートに建て替えました。必要経費総額9500万円のうち5500万円は現金預金から出し、残り4000万円はアパートローンを利用しました。

②「貸家の相続税評価」の効果で、大幅節税が可能になった
建て替えたアパートの評価は、上記図のように2400万円しか増えていません(新築アパート土地建物5500万円ー古い建物土地建物3100万円=2400万円)。

財産合計は7100万円の減額となり、相続税はなんと2000万円も節税できました。これは「計算式」でご説明したように、貸家の相続税評価による効果です。

今回は自己資金とアパートローンを併用しましたが、全額自己資金、もしくは全額借入金でも効果は変わりません。
新しいアパートになったことで、賃貸収入も3倍以上に増えました。それにより相続財産が増えていきますが、今後贈与等の対策を考えていけばよいのです。

※リンク
「ケース別・絶対見逃したくない相続税の節税対策」事例①老朽化物件の建て替えによる節税
「ケース別・絶対見逃したくない相続税の節税対策」事例②「相続時精算課税」を活用し、収益物件を贈与
「ケース別・絶対見逃したくない相続税の節税対策」事例③個人から法人へ建物を譲渡し、節税に成功
「ケース別・絶対見逃したくない相続税の節税対策」事例④「小規模宅地等の特例」で相続税評価額を5分の1に

(プロフィール)
きたおか・しゅういち 1957年生まれ。税理士。東京メトロポリタン税理士法人統括代表。立教大学経済学部卒業。’80年税理士試験合格。会計事務所勤務を経て’83年独立。’90年東京メトロポリタン・コンサルティング・グループ(株)代表取締役に就任。2009年より現職。不動産会社の顧問、世話役等を通じて不動産関連の相談、対策、申告に豊富な実績を持つ。『社長の「闘う財務」ノート ~ 社長の数字力が会社を鍛える』(プレジデント社)ほか著書多数。

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