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相続・税金
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更新日 : 16/04/18

資産を殖やす「資産組み換え講座」⑥「とりあえず共有相続」の解決

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税理士・中小企業診断士 飯塚美幸

兄弟で協議が成立せず、とりあえず共有に・・・

甲様ご兄弟は70歳の長女甲様を筆頭に5人。先代の相続では、ずっと先代の世話をされていた次女丙様が寄与分を主張され、他のご兄弟と話がつかず。そのため、遺産分割協議が暗礁に乗り上げ、相続税申告に間に合わせるために、結局全部の財産を法廷相続分で分割、協議成立という緊急避難分割になったそうです。

共有を単独所有にできないか

ところが、三男戊様の住まいの建て替え問題が発生。借入を起こすには、担保である敷地所有者全員が保証人にならねばなりません。しかし、丙様はがんとして判をついてくれません。とにかく話し合おうと、皆様で相談にお越しになったというわけです。

皆様の認識は、今のままでは全員にとって良くないという点では一致しています。そこで現在の共有状況を、それぞれ単独所有にできないかという話になりました。

土地持分を相互交換し、単独所有に

ではどうするか? それぞれの財産評価額をベースに時価を算出します。そして、利用状況により分筆可能な土地は、共有分割を行い(不動産取得税は非課税です)、分筆不可能な十数の土地は、それぞれの持分を相互に交換し合います。

例えば、A様の5分の1の乙様持分評価額が、B地とC地の甲様持分評価額と等価なら、相互に税務特例による固定資産の交換を行っても、譲渡勢の課税繰延が可能。甲様は他の土地の自分の持分と丙様・丁様・戊様の持分と交換することで、A地を単独所有に集約していくことができます。

底地は、資金のある方が買い上げて

底地は、事業用交換特例を適用して、8割の譲渡繰延となります。また一部、調整不可能な部分は売買とし、資金のある方が、そうでない方から買い上げれば、不動産取得税や登録免許税という費用が捻出できます。しかし、それでも最後に調整不可能ながら良い土地が残ってしまい、皆様が黙り込んでしまいました。

今では、互いの土地活用を相談し合う仲に

甲様が口を開きました。「丙が受け取ってね」。ご先代を看取ってくれた丙様に皆様が贈与するというのです。丙様の頬を涙がつたいました。意固地になっていたけれど、丙様は本当は分かってほしかっただけなのです。皆様は手を取り合って泣きました。

丙様は少額の贈与税を負担したものの、権利調整が完了し、それぞれの単独所有に。これで、もう売っても貸しても建てても借りても自由です。

信頼が回復した今では、お互いの土地活用まで相談し合うようになったのです。

※リンク

資産を殖やす「資産組み替え講座」
①再建築不可の旗竿地の蘇生
②賃貸マンションの名義は法人? 個人?
③売却は売りやすい土地から?
④路線価の高い土地と低い土地の交換
⑤未分割法定相続共有の解決
⑥「とりあえず共有相続」の解決
⑦自宅の権利調整
⑧「相続後の有利売却」と利息の経費化
⑨「アパートの贈与」で収益力を増加
⑩「会社借金の肩代わり」と事業転換
⑪「片割れ交換」でWin・Win・Win
⑫売りにくい土地を有利に売るために

(プロフィール)

いいづか・みゆき
税理士、中小企業診断士、事業承継協議会会員、千代田区議会諮問委員、不動産コンサルティングマスター試験委員、成年後見人東京家庭裁判所登録員
静岡生まれ。静岡大学人文学部卒業、平成7年飯塚美幸税理士事務所開業/エクスプレス・タックス株式会社設立、平成22年松木飯塚税理士事務所、平成25年松木飯塚税理士法人設立、代表社員就任、現在に至る。
主著として「小規模宅地特例−実務で迷いがちな複雑・難解事例の適用判断」(清文社)、「税理士のための相続税実務−贈与税各種特例」(中央経済社)、「財産を殖やすための相続対策プログラム」(日本法令)、共著として「平成27年度よくわかる税制改正と実務の徹底対策」(日本法令)、「『資本の部』の実務−改正商法・会計・税務」(新日本法規出版)などがある。

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