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更新日 : 16/02/08

「家賃減額請求」解決の方法その③減額請求における、賢明な選択とは?

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弁護士 石川貞行

話し合いが成立しない場合、賃料の支払いはどうなる?

賃借人と家主の間で賃料減額の話し合いが成立しない場合、家主は、減額を正当とする裁判が確定するまで、自身が相当と考える賃料(特段の事情がない限り従前賃料となる)を賃借人に請求することができます。

また賃借人は、減額請求を行っていたとしても、家主が請求する額を支払わなければなりません(借地借家法第32条3項)。

もし賃借人が家主の意向を無視して、みずから主張する賃料(減額した家賃)を支払い続けたなら、その差額(不足額)分について賃料不払いの債務不履行となります。

●債務不履行を理由に賃貸借契約を解除できる?

その際、債務不履行を理由に家主は賃貸借契約を解除できるかどうかということが問題となります。

このような場合、判例では差額、累積不払い額、不払いの事情などを総合的に考慮して判断を行っています。以下2つの判例を参考にしてください。

<判例1>

家主が月額45万円(従前賃料)を請求したのに対して、賃借人が35万円への減額を請求して同額を支払い続けたケース

→裁判所は契約解除を容認(東京地裁 平成10年5月28日判決。判例時報1663号112頁)

<判例2>

家主が月額46万円(従前賃料)を請求したのに対して、賃借人が37万8080円に減額請求しながら、当面の措置として40万1720円を支払い続け、裁判所が41万2000円を相当と判決したケース。

→契約解除を否定(東京地裁 平成9年10月29日 判決。判例タイムズ981号281頁)

妥協による解決をはかり、裁判にならないようにする

当事者間で話し合いが成立しない場合、賃借人は家主が請求する「相当額の賃料」を払い続けながら、裁判で減額が妥当か否かを決めてもらい、かつその金額を確定してもらうことになります。

●調停不成立の場合に、本裁判となる

しかし、裁判になると実際どうなるのか? 地代家賃増減請求案件では、調停前置主義がとられており(民事調停法第24条の2)、手順としては、まず調停申立から始め、調停不成立の場合に本裁判となります。

●法的解決には、相当な時間・労力、費用がかかる

法的手続によって解決しようとする限り、裁判の結果に従わざるを得ませんが、そこに至るまでには、相当な時間・労力とともに裁判費用(鑑定費用、弁護士費用などを含む)がかかります。

結果として採算が合わないこともありますので、お互いにどこかで妥協して解決をはかるよう、よく検討することが大切だと思います。

家賃減額は家主としては避けたいところですが、賃貸経営を円滑円満に続けていくためには、どう対応していくことが賢明か。大局的な観点に立って総合的に判断されることをおすすめします。

※リンク

「家賃減額請求」― 解決の方法その① 賃料減額は、「公平の原則」によって判断を

「家賃減額請求」― 解決の方法その② 空室による損失を見極めて、柔軟に対応する

「家賃減額請求」― 解決の方法その③ 減額請求における、賢明な選択とは?

(プロフィール)

いしかわ・さだゆき 1940年、愛知県生まれ。1972年、中京法律事務所開設。『借家トラブル解決文例集』『家主・法律実務家・仲介業者のための 借家トラブル解決マニュアル』(六法出版)、『家賃滞納トラブル解決マニュアル』(全国図書出版)、『入居者のための借家トラブル』(同)ほか、趣味関連の著書に『名古屋周辺からの釣り船・船宿ガイド』(ひかりの国社)がある。

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