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入居者トラブル
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更新日 : 16/01/25

「家賃減額請求」解決の方法その①賃料減額は「公平の原則」によって判断を

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弁護士 石川貞行

「賃料減額請求権」とは?

隣の部屋のほうが安いから、経営が不振だからと家賃の減額を求めてくる賃借人は珍しくありません。オーナーとして、この問題についてどう考え折り合いをつけていくのが賢明か。さまざまな角度から考えてみましょう。

●状況の変化に応じて、賃料額の変更は認められている

借地借家法第32条1項には、「建物の借賃が、①土地もしくは建物に対する租税その他の負担の増減により、②土地もしくは建物の価格の上昇もしくは低下、その他の経済事情の変動により、③または近傍同種の借賃に比較して不相当となったとき」は、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向けて建物の賃借の増減を請求することができると定められております。

これは、建物賃貸借契約は継続的契約であり、更新により長期化することも多く、当初の賃料額を拘束することが不合理不公平となれば、その額の変更を認める必要があるという趣旨であり、広義の事情変更の原則を法文にしたものです。

同条項は「増減請求権」ですが、昨今では、借家人(サブリース業者を含む)からの減額請求ばかりが問題となっております。

インターネットで隣室の家賃がわかってしまう時代

近頃は、インターネットで隣室の家賃がわかってしまう時代となり、家主としては頭の痛い問題です。

契約自由の原則からいえば、契約条件は当事者間の合意により自由に定められるものであり、他の契約条件に左右されるものではありません。したがって、契約の時期、経済情勢、当事者間の個人的関係などにより、同一のアパート・マンションで賃料格差が生ずるのはやむを得ないことです。

しかし、ご相談のケースは前述の借地借家法第32条1項の③に該当すると判断されますと、入居者からの賃料の減額請求が認められることになります。

同じ物件で賃料格差がある場合に、減額を求められたら?

最近、ある大家さんからこんな相談が寄せられました。いずれもどう対処すればよいでしょうかという内容でした。事例に沿って、解決策を考えてみましょう。

<相談事例①>

「マンションの居住者から、私は月7万円で借りているのに、隣室は6万円で募集している。私も6万円に減額してほしいと言われました。どうすればよいでしょうか」

<対応策>

この場合、家主としては、契約自由の原則を盾に賃料減額を拒否してもよいのですが、その結果、賃料の安い物件に借り換えるなどして入居者に退去されてしまえば、その後は、もう高い賃料で募集することはむずかしくなり、結果として値下げを認めたのと同じことになってしまいます。

妥協的な解決策として、入居者には契約更新時に考慮・検討するということで、いったん減額請求の全部または一部の撤回を納得してもらうのが良策と思われます。

<相談事例②>

「家賃7万円で新規募集をしたが入居が決まらず、6万6000円に下げて埋めたところ、既存の入居者から月6万6000円にしてほしいと減額請求されました。どう考えるべきでしょうか」

<対応策>

このようなケースでは、新築物件で短期間のうちに賃料格差が生ずるのは望ましくないため、いっせいに減額することで解決した実例もあります。

仮にすぐに減額しなくても、賃料は即時売買のように1回で終わるものではなく、格差が継続しますから、どこかで「公平の原則」によって修正しなければ、円滑な賃貸借契約の維持に支障が生ずる可能性があります。

家主としては、賃料の初期設定や資金計画に立ち帰って慎重に検討し、賃貸経営を円滑に続けるために、このようなトラブルを未然に防止することが最も重要です。

※リンク

「家賃減額請求」解決の方法 その①賃料減額は、「公平の原則」によって判断を
「家賃減額請求」解決の方法 その②空室による損失を見極めて、柔軟に対応する
「家賃減額請求」解決の方法 その③減額請求における、賢明な選択とは?

 (プロフィール)

いしかわ・さだゆき 1940年、愛知県生まれ。1972年、中京法律事務所開設。『借家トラブル解決文例集』『家主・法律実務家・仲介業者のための 借家トラブル解決マニュアル』(六法出版)、『家賃滞納トラブル解決マニュアル』(全国図書出版)、『入居者のための借家トラブル』(同)ほか、趣味関連の著書に『名古屋周辺からの釣り船・船宿ガイド』(ひかりの国社)がある。

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