LIXILリアルティ.comスマート不動産オーナーズ

相続・税金
LINEで送る

更新日 : 16/01/11

間違えやすい確定申告の事例 その③「事業規模と特例」「消費税と簡易課税制度」

36415cd09c63d8164109bfacfc2dd139_s

平川会計パートナーズ代表  税理士 平川忠雄

<不動産貸付けの規模と特例>

規模の大小によって、特例が適用が異なる

不動産所得は、貸付けが事業的規模で行われている場合にのみ、たとえば次のような特例の適用を受けることができます。規模が小さい場合には、適用されませんのでご注意ください。

①  一定の親族に支払った給料(青色事業専従者給与)が必要経費に算入できる

(貸付け規模が小さい場合は、仮に給料を支払っても必要経費とすることは認められていない)

②  建物の取り壊し損失については、全額を必要経費に算入できる

(貸付け規模が小さい場合には、その年分の所得金額=利益が損失の限度額とされるため、他の所得との損益通算や「青色申告者の純損失の繰越控除」の適用はない)

③  複式簿記による記帳などの条件を満たすことで、65万円の青色申告特別控除の適用が受けられる

(貸付け規模が小さい場合には10万円)

●事業的規模と認められるケース

建物の貸付けが事業として行われているかどうかは、社会通念上、事業といえるほどの規模であるかどうかで判定されます。ただし、下記①②のいずれかに該当、もしくは賃貸収入の状況などがそれに準じると認められる場合は、原則として「事業的規模」として取り扱われます。

①貸間・アパート等の場合は、独立した室数がおおむね10室以上であること

②独立家屋の貸付けの場合は、おおむね5棟以上であること

<消費税の納税義務と簡易課税制度>

「住宅家賃」は非課税、「店舗・事務所家賃・駐車場」は課税対象

不動産貸付業の場合、住宅家賃や地代は消費税が非課税となっています。

しかし、店舗・事業所家賃や、駐車場で地面の整備やフェンス・区画・建物の設置等をしている場合は課税売上げの対象となり、基準期間(その年の前々年。平成28年度の基準期間は平成26年)の課税売上げが1000万円を超える場合には、課税事業者に該当します。

なお、消費税は原則として、「課税売上げに係る消費税額」から「必要経費などに係る消費税額」を差し引いた残りを、翌年3月31日までに申告し納税することになります。

●消費税の計算が困難な場合は、「簡易課税制度」を選択できる

しかし、不動産収入のうちに、非課税売上げと課税売上げが混在している場合は、支払った必要経費に対する消費税額を全額差し引くことはできず、消費税の計算も非常に煩雑となります。

そこで、基準期間における課税売上げが5000万円以下の場合には、その年の前年までに届出を行うことにより、簡易課税制度という簡便な計算方法を選択することができます。この制度を選択した場合、納税額は次のような計算方法で計算できます。

「その年分の課税売上げに係る消費税額」−「課税売上げに係る消費税額」×「みなし仕入率」

なお、「みなし仕入率」は業種により定められていますが、原則として不動産貸付業は50%となります。

確定申告を顧問税理士に任されている方も多いと思いますが、ここでご紹介した内容は、」大家さんにも知っておいていただきたい税務知識です。

確定申告は、2月16日〜3月15日。どうぞ早めに準備をなさってください。

※リンク
間違えやすい確定申告の事例 その①「前家賃の収入計上」と「敷金・保証金の取り扱い」
間違えやすい確定申告の事例 その②「敷金・保証金」と「修繕費と資本的支出」
間違えやすい確定申告の事例 その③「事業規模と特例」「消費税と簡易課税制度」

(プロフィール)
ひらかわ・ただお 中央大学経済学部卒業。日本税理士連合会理事をはじめ各種委員を歴任。現在、中央大学経理研究所講師、日本税務会計学会顧問を務める。また、税理士法人平川会計パートナーズ代表社員としてタックスコンサルティング業務のかたわら、講演、セミナー講師として活躍中。

ページの一番上へ