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相続・税金
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更新日 : 15/12/28

間違えやすい確定申告の事例 その②「敷金・保証金」と「修繕費と資本的支出」

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平川会計パートナーズ代表  税理士 平川忠雄

<敷金・保証金の取り扱い>「敷 金・保証金の未返還部分」の収入計上の時期は、いつ?

事務所・店舗などでは賃貸借契約を結ぶ際、「預かり敷金・保証金は解約時に賃料の数カ月分を償却して返還するとしているケースが多く見受けられます。では、この返還しない金額は、不動産所得の計算上どう取り扱うべきなのでしょうか。

●敷金・保証金は、収入金額として取り扱われる

敷金や保証金は、本来は賃借人の債務を担保するためのものですから、それ自体は賃借人の収入になるものではありません。しかし、契約当初から、または一定期間が経過すれば、敷金や保証金の全部または一部が賃借人に帰属すると取り決められている場合があります。

こうしたケースでは、敷金や保証金は実質的には権利金や更新料と変わらないものであり、収入金額として取り扱われます。そしてその計上時期は賃貸借契約の終了時ではなく、賃貸人が物件を引き渡した時点(契約時)となります。

●契約時と解約時の賃料に差額が生じた場合は・・・

また、契約書で返還を要しない金額が解約時の賃料の数カ月分などとされている場合、契約時点では解約時の賃料が不確定であることから、計上時期は契約終了時になるのではとの問題もあります。

しかし、少なくとも契約時の賃料はすでに確定しているため、契約時に計上すべきものとなります。なお、契約時と解約時の賃料に差額が生じた場合には、差額を解約時の収入金額または必要経費として精算することになります。

<修繕費と資本的支出の違い>修繕費と資本的支出はどう区分する?

よく問題となるのが修繕費と資本的支出の区分です。修繕費とは、一般的には通常の維持管理および原状回復のための支出をいい、以下のような通常の維持補修程度のものが該当します。

①家屋の床の毀損部分の取り替え
②畳の表替え
③毀損した瓦・ガラスの取り替え
④障子・襖の張り替え⑤壁の塗り替え費用

だしこれらの費用でも、新規に不動産賃貸業を始める場合や、新たに自宅を賃貸の用に供するために支出した場合などは除かれます。

●資産の価値を高めるものは「資本的支出」になる

修繕費とみなされないものは「資本的支出」となります。たとえば資産の価値を高めたり、耐久性をアップさせたりする支出が該当します。具体的には、次のような改造・改装に要した支出です。

①  避難階段を取り付けるなど、物理的に付加したもの
②  用途変更のための模様替え(事務所から住宅への変更など)

このような資本的支出は、固定資産の取得価額として減価償却を行うことになります。

また、賃貸アパートの壁面をモルタル壁からタイル張りに替えるような改修工事などもアパートの資産価値を高めるための支出であり、通常の維持補修の限度を超えていると見るのが相当です。したがって、「原状回復のための修繕費」を除いた部分が「資本的支出」となります。

●判断が困難なケースは…

ただし、修繕費か「資本的支出」かの判定が実務上困難なケースもあります。

そこで、次のような支出は「その年分の修繕費」として確定申告を行うことによって、必要軽費への算入が認められています。

①  一つの修理・改良などの金額が20万円未満のとき
②  おおむね3年以内の期間とする修理・改良などであるとき
③  明らかに資本的支出に該当しないもので、一つの修理・改良の内で「修繕費」か「資本的支出」か不明な部分がある場合(ただし金額には一定の制限があります)

 ※リンク
間違えやすい確定申告の事例 その①「前家賃の収入計上」と「敷金・保証金の取り扱い」
間違えやすい確定申告の事例 その②「敷金・保証金」と「修繕費と資本的支出」
間違えやすい確定申告の事例 その③「事業規模と特例」「消費税と簡易課税制度」

 (プロフィール)
ひらかわ・ただお 中央大学経済学部卒業。日本税理士連合会理事をはじめ各種委員を歴任。現在、中央大学経理研究所講師、日本税務会計学会顧問を務める。また、税理士法人平川会計パートナーズ代表社員としてタックスコンサルティング業務のかたわら、講演、セミナー講師として活躍中。

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