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更新日 : 15/11/23

資産を殖やす「資産組み替え講座」①再建築不可の旗竿地の蘇生

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税理士・中小企業診断士 飯塚美幸

再建築できない既存不適格物件

オーナーのA様は、先代からの古アパートが建つ、いわゆる旗竿地について頭を抱えていました。その土地は、なんと再建築不可能だといいます。

というのは、その土地は接道部分が1.8mしかなく、現行の建築基準法では最低2mの接道が義務づけられているため、再建築できない既存不適格物件なのです。

築30年の古アパートを、極安の賃料で先代が維持してきた理由がのみ込めました。再建不可のこの土地は、売ることも抵当にすることも、相続の物納にもできないのです。

固定資産の交換特例を検討

A様は、さっそく隣地の飲食業B社の総務に出向きました。接道が足りないのでは隣地の一部を買い取って拡幅

するしかありません。ところが、B社の回答はNO。接道部分をA様に渡すと、B社が建ぺい率違反になってしまうというのです。

そんなことで、私のところにA様がご相談に見えました。図面を拝見するとB社の社屋は、建ぺい率ギリギリに建っています。そこで一計を案じ、B社の接道部分とA様の奥の土地とを交換することを考えました。

交換は本来、資産の相互譲渡になり、譲渡所得税や法人税の課税対象です。しかし、次の6つの要件を満たせば、譲渡がなかったものとして、次にその資産を売却するまで課税が繰り延べられます。

①土地と土地同士など同種の資産

②宅地は宅地など譲渡前と同一用途に供する

③各々が1年以上の所有資産であること

④各々が交換目的の取得でないこと

⑤時価の価格差が2割以内

⑥交換特例について確定申告すること。

言い出しっぺが譲歩する

しかし、A様は考えました。同じ面積での交換に、B社は応ずるだろうか。接道部分を明け渡すには、B社にとって魅力が必要です。

そこで、A様は接道部分に比べ奥の敷地を多めに渡すように境界案を作成。また、交換によりB様は譲渡の法人税は圧縮記帳で繰り延べできますが、不動産取得税や登録免許税が生じます。これもA様が負担しようと決意しました。

案の定、A様の提案にB様も乗り出してきました。実はB社は飲食店のバックヤードに倉庫があれば、もっと客席を広げることができるからです。

交換によるWin・Win

交換時価の比が2割以上になると、同族関係であれば交換そのものがアウトですが、A様とB社は赤の他人同士なのでOKです。この場合の価格は不動産鑑定評価でいう限定価格ですから、一般評価額でアンバランスでも問題はないのです。

ただし、A様が負担しようとしているB社分の税金は、A様からB社への交換差金になります。これが土地時価の2割以内であることが必要です。

結果、A様の土地は立派に適格宅地に蘇生し、老朽アパートの建て替えが可能になり、B社も敷地面積が拡大。お互いの土地は、これからますます発展していくことでしょう。

※リンク
資産を殖やす「資産組み替え講座」

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資産を殖やす「資産組み替え講座」
①再建築不可の旗竿地の蘇生
②賃貸マンションの名義は法人? 個人?
③売却は売りやすい土地から?
④路線価の高い土地と低い土地の交換
⑤未分割法定相続共有の解決
⑥「とりあえず共有相続」の解決
⑦自宅の権利調整
⑧「相続後の有利売却」と利息の経費化
⑨「アパートの贈与」で収益力を増加
⑩「会社借金の肩代わり」と事業転換
⑪「片割れ交換」でWin・Win・Win
⑫売りにくい土地を有利に売るために

(プロフィール)

いいづか・みゆき
税理士、中小企業診断士、事業承継協議会会員、千代田区議会諮問委員、不動産コンサルティングマスター試験委員、成年後見人東京家庭裁判所登録員
静岡生まれ。静岡大学人文学部卒業、平成7年飯塚美幸税理士事務所開業/エクスプレス・タックス株式会社設立、平成22年松木飯塚税理士事務所、平成25年松木飯塚税理士法人設立、代表社員就任、現在に至る。
主著として「小規模宅地特例−実務で迷いがちな複雑・難解事例の適用判断」(清文社)、「税理士のための相続税実務−贈与税各種特例」(中央経済社)、「財産を殖やすための相続対策プログラム」(日本法令)、共著として「平成27年度よくわかる税制改正と実務の徹底対策」(日本法令)、「『資本の部』の実務−改正商法・会計・税務」(新日本法規出版)などがある。

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