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更新日 : 15/10/26

吉田修平先生に聞く、「定期借家」活用のメリットQ&A③

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契約期間も賃料設定も自由度が高い「定借」のメリット

答える人 弁護士 吉田修平

Q1.賃料について、「定借」と「普通借家」では、どんな点に違いが出てきますか。

どちらも、賃料設定はある意味で自由です。しかし、「普通借家」では、明け渡しの際に高額な立退料が発生する恐れもあり、家主側では万一に備えて、賃料を高くしたり、高額の敷金や保証金を預かるという対応がとられているともいえます(保証金などの運用益を貯めておき、立退料に備える)。しかし「定借」では、立退料は発生しないため、その分、賃料などを抑えることができ、物件の競争力アップにつながるといえます。

Q2.家賃の増額・減額については、「定借」ではどのようになりますか?

「普通借家」では、特約で「賃借人の減額請求はできない」と明記していても、裁判では借主に不利として無効とされる可能性があります。しかし「定借」では、そのような特約も有効になりますから、賃料設定の自由度は「定借」のほうがはるかに高いといえます。たとえば、「賃料は10万円として、契約期間中は増額も減額もしない」との特約も「定借」では有効ですが、「普通借家」だと賃借人から減額請求さえる可能性があります。

Q3.「定借」は契約期間も自由なため、活用の幅が広がるということですが、具体的には?

契約期間は1年、2年でも20年でも何年でも自由ですが、さらに1年以内、数カ月などの短期貸しも可能です。例えば、建物の老朽化に伴い、建物取り壊しを決めていても、少しの期間でも借りたいという人がいれば、取り壊しまでの数カ月間を「定借」で貸すという利用の仕方ができます。

Q4.新規の入居者から「定借」に切り替えていく場合、既存の入居者にその告知や説明をする必要はありますか?

同じ建物内の契約であったとしても、他の部屋の契約内容について家主が説明する義務はありません。

Q5.「普通借家」で契約している入居者に、「定借」への切り替えを依頼してノーと言われた場合、なす術はありますか?

居住用物件で「普通借家」を「定借」に切り替えるには、①普通借家契約を解約する合意、及び②「定借」を締結する合意が必要です。ですからノーと言う入居者に対してなす術はありません。どうしても切り替えたい場合は、同意を得るためにそれなりの覚悟(出費)が必要でしょう。例えば保証金を半分返すとか、賃料を10%下げるなどの対応も考えられます。

なお、平成12年3月以前の普通借家契約は、「定借」が誕生する以前の契約になりますので、当事者が合意しても「定借」に切り替えることはできません。

Q6.「定借」の今後の課題は、どのような点にあるとお考えですか?

「定借」は事前説明義務や切り替えの禁止、中途解約に関する規制など、使いにくい部分がありますので、それらの点はより使いやすい方向に改正する必要があると思います。

オーナーの皆様にはシンプルで合理的な「定借」を積極的に活用していただき、より安定した賃貸経営を実現していただきたいと思います。

※リンク

吉田修平先生に聞く、「定期借家」活用のポイントQ&A <その1>「借りたものは期限がきたら返す」、合理的な「定借」の利点

吉田修平先生に聞く、「定期借家」活用のポイントQ&A <その2>入居者の不安を取り除く方法とは?

吉田修平先生に聞く、「定期借家」活用のポイントQ&A <その3>契約期間も賃料設定も自由度が高い「定借」のメリット

(プロフィール)

よしだ・しゅうへい
1952年生まれ。早稲田大学法学部卒業。’94年以降、建設省定期借地権活用住宅研究会・事業、管理、金融各小委員会委員。早稲田大学、神奈川大学講師。政策研究大学院大学客員教授。2004年、定期借家推進協議会・居住用定期借家マニュアル検討ワーキンググループ座長。国土交通省・マンションの新たな管理ルールに関する検討会委員。

著書に「ケーススタディ定期借地権付住宅活用マニュアル」(共著・金融財政事情研究会)、「借地借家法講座2」(共著・日本評論社)、「実務注釈・定期借家法」(都市住宅学会著作賞受賞/信山社)など。

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