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入居者トラブル
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更新日 : 15/10/19

吉田修平先生に聞く、「定期借家」活用のメリットQ&A②

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入居者の不安を取り除く方法とは?

答える人 弁護士 吉田修平

Q1.「更新がないため、入居者が不安になる」「入居者を確保しにくい」と、「定借」に踏み切れないオーナーも少なくないようですが、どんな解決策があるでしょうか?

確かに「定借」は更新がないため、同じ建物に住み続けたいと考える借主には、「普通借家」のほうが魅力的に映るでしょう。しかし、「定借」だからといって、続けて住めないわけではありません。家主も、優良入居者には長く住んでほしいと考えるのが当たり前ですから、契約満了後、再契約によって引き続き住んでもらえばよいのです。

Q2.家主側が入居者の不安を除くためには、契約時にどう説明し、契約書にどう書けばよいのでしょうか?

入居希望者に安心感を与えるという意味で、「更新はないが、協議により合意すれば再契約が可能」という旨を、念のため契約書に記載することはよいと思います。ただ、「契約を守れば必ず再契約をする」という書き方は「再契約の予約」になりますので、注意が必要です。例えば、入居者は契約内容を守っていたのに、家主側の都合で建物の修繕の必要性が生じたとか、自己使用にするとか、第三者への売却とか、再契約ができない事態になることも考えられます。そんなとき、「再契約の予約」をしていると損害賠償請求をされる可能性があるため、あまりおすすめできません。

Q3.再契約しないことが明確な場合は?

念のために契約段階で理由を伝えておいたほうが、後日にトラブルが生じないと思いますので、「3年後に必ず建て替えの工事をするので、期間を3年とする」などと明記するとよいでしょう。本来「定借」は、「契約期間」を記すことでその要件は満たすものです。しかし、例えば、契約期間が3年で再契約はないのに、入居者が10年以上使える内装設備をした場合、それを「家主側が知っていながら注意をしなかったことが説明義務違反」だとして、損害賠償責任を追及される可能性がゼロとは言えません。その他、「定借」契約の決まりがありますので(表1参照)、留意してください。

表1.定期借家契約と普通借家契約の比較

<定期借家契約>

◇契約方法
①  書面(公正証書など)による契約に限る。
②  「更新がなく、期間の満了により終了する」ことを契約書とは別に、事前に説明文書を作成し、交付して説明しなければならない。

◇更新の有無

期間の満了により終了。更新はないが、再契約は可能。

◇賃料の増減
「賃料減額請求権」を排除できる(特約の定めに従う)。

◇契約期間の上限 無制限

◇借主からの中途解約
①「転勤・療養・親族の介護」その他やむを得ない事情で使用が困難となった借主は、特約がなくても法律により中途解約が可能(床面積200㎡未満の居住用建物)。
②上記①以外の場合は、中途解約に関する特約があればそれに従う。

◇期間終了告知
1年以上の契約の場合は、終了の1年から6カ月前までに家主から借主への終了する旨の通知が必要。1年未満なら通知は不要。通知を忘れた場合、通知をした日から6カ月後に延期。

<普通借家契約>

◇契約方法
書面でも口頭でも可(ただし、宅建業者の媒介により契約を締結する場合は、契約書が作成・交付される)

◇更新の有無
「正当な事由」がない限り、更新される。

◇契約期間の上限
平成12年3月1日より前の契約・・・20年
平成12年3月1日以降の契約・・・・無制限

◇賃料の増減
事情が変われば、貸主と借主は賃料の額の増額や減額を請求できる(一定期間賃料を増額しない旨の特約がある場合は、その定めに従う)。

◇借主からの中途解約
中途解約に関する特約があれば、それに従う。

◇期間終了告知
「正当な事由」がない限り更新され、告知の義務はない。

◇定期借家契約への切り替え
(普通借家契約を合意解約し、新たに定期借家契約を締結すること)
平成12年3月以前の契約は切り替え不可。ただし、事業用の場合は切り替え可能。

 

※リンク

吉田修平先生に聞く、「定期借家」活用のポイントQ&A <その1>「借りたものは期限がきたら返す」、合理的な「定借」の利点
吉田修平先生に聞く、「定期借家」活用のポイントQ&A <その2>入居者の不安を取り除く方法とは?
吉田修平先生に聞く、「定期借家」活用のポイントQ&A <その3>契約期間も賃料設定も自由度が高い「定借」のメリット

(プロフィール)

よしだ・しゅうへい
1952年生まれ。早稲田大学法学部卒業。’94年以降、建設省定期借地権活用住宅研究会・事業、管理、金融各小委員会委員。早稲田大学、神奈川大学講師。政策研究大学院大学客員教授。2004年、定期借家推進協議会・居住用定期借家マニュアル検討ワーキンググループ座長。国土交通省・マンションの新たな管理ルールに関する検討会委員。

著書に「ケーススタディ定期借地権付住宅活用マニュアル」(共著・金融財政事情研究会)、「借地借家法講座2」(共著・日本評論社)、「実務注釈・定期借家法」(都市住宅学会著作賞受賞/信山社)など。

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