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更新日 : 15/10/05

愛の満室経営セミナ⑧不動産で自分の仕事を潰すべからず

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東京共同住宅協会会長 谷崎憲一

10年ほど前、東京共同住宅協会に相談に見えたFさんは、今では一緒に飲みに行く親しい仲になっていますが、お会いした時は、私の人生の中でも特に記憶に残るトラブルを抱えていました。

 養子縁組で資産家の仲間入りしたが・・・

Fさんは、30代の頃に東京下町に数千坪もの土地を相続した、若き大地主さんでした。母方の祖父に男子の相続人がおらず、急きょ養子縁組をして資産家の仲間入りをしたので、財産の価値や活かし方に無頓着。お会いした時には、取り巻きの差配などで資産の約3分の1を失っていました。

しかも、固定資産税や相続税の延納金などの返済が重なり、決して裕福な状態とはいえず、さらに借地人とのトラブルを多数抱え、にっちもさっちもいかない状況にありました。そして、お金が足りなくなっては土地を切り売りする、負のスパイラルに陥っていました。勤め先の仕事にも支障を来たし、全て投げ出したくなって相談に来られたのでした。

事業は健全になったが、勤務先を辞職

相談を受けて、私は全資産の洗い直しや不良資産の整理・交換をおすすめし、「守り、活かす資産」と「収益を伴う資産」に分別。事業の健全化に2年かかりましたが、安定収入を得られるまでになりました。

しかし、ここからが本題です。

経済的余裕が出てくると、Fさんは、私にたびたび勤続10年以上になる会社の愚痴をこぼすようになりました。会社は上場企業で将来性もあり、Fさんは出世コースを歩んでいました。しかし、上司とぶつかることも多く、辞めたい思いが募っていました。私は、彼のキャリアがもったいないと思い、また現在働きながら十分に不動産の管理ができているので、我慢するように説得。しかし、ある日、とうとう短気を起こして辞表を叩きつけてしまいました。

不動産で貴重なキャリアを潰すべからず

その後、Fさんは不動産収入だけで生活することになりました。朝は自由に起き、夜な夜な遊び歩くようになり、久しぶりにお会いした時は、体重が15キロも増えていました。目の輝きも失せ、堕落した生活がにじみ出ていましたので、私はケンカ別れも覚悟して、改めて社会復帰するか、このまま人生を潰すのかと問いただしました。

彼は、どうすればいいかわからないと泣きながらも素直に受け止めてくれ、小さな会社に就職しました。もともと能力の高いFさんは、徐々に頭角を現していきました。現在もその会社に勤務し、将来の夢は社長さんと共に立派な会社に育て上げることだと、生き生きとした眼差しで語るようになりました。

Fさんから「人から必要とされることに生き甲斐を感じます。ありがとうございました」と言われたときは、私も胸が熱くなりました。不動産で自分の仕事のキャリアを潰してはいけません。それは親も気を付けるべき大切なことです。

※リンク

愛の満室経営セミナー

①空室の原因と管理会社の関係
②土地活用は「結婚相手選び」と同じ
③ケチケチ大家さんの悲劇
④情に棹させば、失敗する
⑤賃貸経営は人生観を映す
⑥立ち退き交渉は、あくまで冷静に
⑦好立地でも、マーケティングは必須
⑧不動産で自分の仕事を潰すべからず
⑨セカンドオピニオンという選択
⑩パートナーという関係づくり
⑪ありがとう
⑫「思いやり」と「信頼」
⑬相続で引き継ぐべきこと

(プロフィール)
たにざき・けんいち 都内で唯一の地主さん・家主さんのための団体、「公益社団法人 東京共同住宅協会」会長。15年間の相談部長を経て現職に。東京都耐震化推進都民会議委員、福祉住宅研究会主宰、NPO法人賃貸経営110番顧問など幅広く活躍。厳しいなかにも人間味のある誠実なアドバイスが人気を呼んでいる。アパート・マンションなど自らも大家業を営む。

オールアバウト
http://allabout.co.jp/gm/gp/342/

公益社団法人東京共同住宅協会
http://www.tojukyo.net/

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