LIXILリアルティ.comスマート不動産オーナーズ

空室対策・リフォーム
LINEで送る

更新日 : 15/08/31

愛の満室経営セミナー⑤賃貸経営は、人生観を映す

100199_1

東京共同住宅協会会長 谷崎憲一

10年ほど前のこと。東京共同住宅協会の相談部にご年配の男性Aさんから一本の電話がありました。Aさんは、いきなり「お宅は原状回復のトラブルには長けているかね?」と聞いてこられたので、「ある程度は答えられますよ」と言うと、次々と法律用語を多用して質問してこられました。

保証金返還をめぐって、半年にもおよぶ争いが…

Aさんは東京都内の沿線の駅前に、店舗兼アパートの老朽化物件を所有されており、1階のテナント店舗について、退去時の保証金返還に関するトラブルをかかえておられました。電話では何ですからと、協会にお越しいただき、詳しくうかがうと―。

解約の通知の時期について、仲介会社を通してテナントと揉めてしまい、仲介会社まで敵に回しての攻防が半年くらい続いているといいます。テナントには弁護士が付いており、訴訟の通知まできていました。テナントは既に関西に引き上げており、通知は大阪の裁判所からのものでした。

東京に住むAさんが、裁判の度に大阪まで通うのは大きな負担です。賃貸借契約書には所管の裁判所は東京となっていましたので、私は、Aさんに弁護士に相談して裁判所の変更を申し立てるようにとアドバイスしました。

和解案を蹴った、頭脳明晰なAさん

Aさんとテナントのトラブルは30万円の金額を巡るもので、一度は仲裁に入った仲介会社から痛み分けの案が出されたそうですが、Aさんは自分の側には一切落ち度がないと、和解案を蹴ったそうです。Aさんは80歳近くの方ですが、頭脳明晰でよく勉強をしておられ、法律知識も豊富。妥協しない精神力にも、私は感心しておりました。私が「奥様や息子さんには相談されましたか?」と聞くと、呆れているとのこと。話がややこしいので任せられないとのことでした。

老朽物件を建て替え、息子さんと共に事業

そこで、私は、Aさんに次のように問いかけ、思うところを話してみました。「そろそろ息子さんに不動産管理をバトンタッチされてはいかがですか? 同時に、今の老朽物件が抱えているトラブルを引き継がせないように、立派なビルに新しく建て替えて、Aさんが息子さんと一緒になって事業化してはいかがですか? Aさんのエネルギーがあれば、まだまだ大丈夫です。このまま裁判を続け、トラブルを抱えた物件を次世代に残すより、はるかに有意義ではありませんか?」と。Aさんはハッとされた様子で、しばらく考えてみると言って帰って行かれました。そして、1週間後に連絡がありました。裁判をせずに和解し、今度は息子と建て替えの相談に来たいと。

現在、その老朽化物件は5階建ての素敵な商業施設となり、Aさんはますますお元気な様子で、時々協会にも遊びに来られます。賃貸経営は人生観も映すという事例ですね。

※リンク

愛の満室経営セミナー

①空室の原因と管理会社の関係
②土地活用は「結婚相手選び」と同じ
③ケチケチ大家さんの悲劇
④情に棹させば、失敗する
⑤賃貸経営は人生観を映す
⑥立ち退き交渉は、あくまで冷静に
⑦好立地でも、マーケティングは必須
⑧不動産で自分の仕事を潰すべからず
⑨セカンドオピニオンという選択
⑩パートナーという関係づくり
⑪ありがとう
⑫「思いやり」と「信頼」
⑬相続で引き継ぐべきこと

(プロフィール)
たにざき・けんいち 都内で唯一の地主さん・家主さんのための団体、「公益社団法人 東京共同住宅協会」会長。15年間の相談部長を経て現職に。東京都耐震化推進都民会議委員、福祉住宅研究会主宰、NPO法人賃貸経営110番顧問など幅広く活躍。厳しいなかにも人間味のある誠実なアドバイスが人気を呼んでいる。アパート・マンションなど自らも大家業を営む。

オールアバウト
http://allabout.co.jp/gm/gp/342/

公益社団法人東京共同住宅協会
http://www.tojukyo.net/

ページの一番上へ