LIXILリアルティ.comスマート不動産オーナーズ

相続・税金
LINEで送る

更新日 : 15/08/24

アパートの「事業承継」と「後継者育成」<その3>人は、価値あるものにお金を払う

96202101c7717f59a2624ea8c5eecd66_s

税理士・中小企業診断士 飯塚美幸

後継者と一緒に改善策を考えてみる

事業承継で最もまずいのは、親と子のコミュニケーション不足です。資産や跡継ぎの話は、毎日一緒に食事をしていても出にくいものですが、親も子も何も言わないでいると疑心暗鬼となり、いつまでたっても事は進みません。この状態を打開するには、一旦後継対策のことは忘れて、所有物件について一緒に改善策を考えてみることです。税額に比べて収益が低いもの、収益が年々下がっているものなど、問題物件から手をつけていくのもいい方法です。共に話し合えば財産に対する意識が深まり、情報を提供し合うなかで建設的な意見や知恵がいろいろ湧いてきます。

●一気にではなく、だんだん任せていく

子供が何人かいて物件も複数ある場合は、物件をそれぞれに割り当てて、管理を任せてみるのも手。向き不向きも分かります。その際、一気に行うのではなくだんだん任せ、ステップを踏みながら着実に自信をつけさせていくようにすることが大切です。

●ほかの相続人も巻き込んで

また、後継者とだけ話すのではなく、他の相続人も巻き込み、よいことも不都合なこともプロセスを見せながら話を進めていくことです。そうでないと、何でもないことが疑心暗鬼をよび、承継がスムーズに進みません。

一緒に物件を見に行き、関係者に顔つなぎをする

物件を後継者と一緒に見に行くことも非常に大切なことです。実は、そんな経験はないという方が多くてびっくりしています。ぜひ一緒に行って土地の歴史を後継者に話してください。耳にたこができるくらいでいいと思います。歴史を知ると街や土地への愛着が湧き、よい資産運用が考えられるようになります。また、業者、入居者、専門家などと相談や交渉を行うときは、できるだけ後継者も立ち会わせましょう。顔つなぎも重要です。古くからの借地人・借家人に対してご当主なら鶴の一声で済んだことが、後継者と賃借人の関係ができていないと、後継者が仕切っていくことが困難になります。昔のままの古い契約書も新しくしましょう。そのままにしてしまうと、借りている側の力が強くなってしまいます。

●人的資産や信頼関係を大切に

パートナーへの橋渡しも、資産をよい形で引き継ぐためには不可欠です。税理士や弁護士、司法書士、管理を頼んでいる不動産業者はもちろん、過去のことをよく知る測量士など、人的資産や信頼関係を大切にします。オーナー様は全体を見渡して、後継者も家族も業者さんも、みんなを巻き込んで協力させ、資産を育て儲ける仕組みを構築してください。そして、それを計画的に行うことです。

後継者と一緒に、みながwin-winになる運用を考える

オーナー様は土地に責任を持つ、街の主人です。新築アパートができて、街がきれいになったというような物件をつくってください。人は価値あるものにお金を払います。質の高い、地域に合った、求められるものをつくりましょう。すると益々地域がよくなり、入居者が喜び、オーナー様に潤いをもたらします。

アパート・マンションもビルも商品研究はまだまだこれからで、様々な可能性が潜んでいます。みながwin – winになる土地活用を行えば、どうころんでも成功せざるを得ません。そういう楽しく元気な運用を後継者と一緒に考えながら、事業を承継していきましょう。

※リンク
アパートの「事業承継」と「後継者育成」<その1>何を引き継ぐのか? 基本の心得と体制づくり
アパートの「事業承継」と「後継者育成」<その2>個々の物件に即して、具体的に検証していく
アパートの「事業承継」と「後継者育成」<その3>人は、価値あるものにお金を払う

(プロフィール)
いいづか・みゆき
●税理士、中小企業診断士、事業承継協議会会員、千代田区議会諮問委員、不動産コンサルティングマスター試験委員、成年後見人東京家庭裁判所登録員
●静岡生まれ。静岡大学人文学部卒業、平成7年飯塚美幸税理士事務所開業/エクスプレス・タックス株式会社設立、平成22年松木飯塚税理士事務所、平成25年松木飯塚税理士法人設立、代表社員就任、現在に至る。
●主著として「小規模宅地特例−実務で迷いがちな複雑・難解事例の適用判断」(清文社)、「税理士のための相続税実務−贈与税各種特例」(中央経済社)、「財産を殖やすための相続対策プログラム」(日本法令)、共著として「平成27年度よくわかる税制改正と実務の徹底対策」(日本法令)、「『資本の部』の実務−改正商法・会計・税務」(新日本法規出版)などがある。

ページの一番上へ