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相続・税金
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更新日 : 15/06/01

リフォーム費用の分類と節税対策<その1>「修繕費」と「資本的支出」では、手残りに差がつく!

大家さん専門税理士 賃貸オーナー 渡邊浩滋

 「修繕費」と「資本的支出」では、税務上の扱いが異なる

賃貸経営につきもののリフォームですが、特に近年はライフスタイルの多様化にともない、設備や間取りを気にする入居者が増えています。築古物件をお持ちの大家さんは、新築に対抗するためにリフォーム・リノベーションを行い、競争力をアップしていかなければなりません。しかし、現実問題として、手持ちのキャッシュに余裕のない大家さんも少なくありません。
そこで、きちんと押さえておきたいのが費用の分類です。 リフォーム・リノベーションの費用は、「修繕費」か「資本的支出」によって税務上の扱いが異なり、経営に大きく影響します。正しい知識と節税対策で「手残り金額」を多くし、賃貸経営の足腰を強くすることが大切です。

●まずは「リフォームの必要性」と「使えるお金」の確認を

「リフォームにいくらほどかければよいですか?」という質問をよく受けます。一概には言えませんので、ケースバイケースでお答えしていますが、判断基準として、最初に確認すべきことはリフォームの必要性です。リフォームの緊急性があるのか、あるいは、リノベーションをしないと空室が埋まらないのかという点です。 次に、リフォームを行えるだけのキャッシュがあるのか、そして、費用対効果が得られるのかということです。かけられる金額によってはリフォームをせず、家賃を下げる選択をおすすめする場合もあります。

●ポイントを絞ったリフォームの検討も
また、リフォーム業者などから提案されたプランを全部行うのではなく、一部だけリフォームするという方法もあります。たとえば、クロスを全部張り替えるのではなく、一面だけにアクセントクロスを張ったり、棚を設置するなど、ポイントを絞ったリフォームで効果が出ることも多くあります。

 修繕における税務上の扱い

原状回復工事や小さな修繕も含め、リフォーム・リノベーションを行う際に気をつけなければならないのが、税金の問題です。なぜなら、支出したお金が全て経費になるとは限らないからです。

●「修繕費」は全額を必要経費にできる
修繕による支出は、内容や金額により税務上、「修繕費」と「資本的支出」に分けられます。 「修繕費」は、元の状態に戻す原状回復のための支出です。具体的には、たとえばクロスの張り替え、床の補修などです。「修繕費」に該当する場合は、支出した年に、その全額を必要経費に計上できます。

●「資本的支出」は減価償却費として計上
「資本的支出」とは、物件の価値が上がったり、耐用年数が延長するような工事に関する支出のことです。主にリノベーションが該当します。「資本的支出」は、資産として計上することになります。つまり、減価償却費として毎年、耐用年数に応じた必要経費を計上していきます。この場合、耐用年数については次のように考えられています。「資本的支出」は、もとの資産本体と同じ種類・耐用年数の資産を新たに取得したものと見なされるため、減価償却も資産本体の耐用年数に準じて行うこととなります。

 「資本的支出」と「修繕費」、どっちに分類したほうが有利?

●例.耐用年数47年の建物を1000万円で修理し、全額が「資本的出」の場合
新たに耐用年数47年の資産を取得したものとして、1000万円を支出した年から、耐用年数47年で減価償却していくことになります。したがって、たとえ資産取得後25年目に修理したものでも、47年-25年= 22年の耐用年数にはなりません。建物は定額法での償却になりますので、47年の耐用年数なら1年当たりの償却額はたったの22万円です。このことがキャッシュフローに影響していきます。

●全額「修繕費」とした場合
1000万円が経費となるため、税金が安くなります。

●全額「資本的支出」とした場合
年間22万円の減価償却にしかなりませんので税金が高くなり、手残り金が少なくなってしまいます。キャッシュフローは、1000万円を一括損金として計上できる「修繕費」に分類したほうが有利になるといえます。

※リンク
リフォーム費用の分類と節税対策<その1> 「修繕費」と「資本的支出」では、手残りに差がつく!
リフォーム費用の分類と節税対策<その2> 分類は「金額」と「工事内容」の両面で、賢く判断を!

(プロフィール)
わたなべ・こうじ 税理士・司法書士。明治大学法学部卒業。総合商社勤務を経て税理士試験に合格。2008年、両親から危機的経営状態の5棟86室のアパートを継ぎ、税理士業と並行して経営を立て直す。2011年独立開業。税理士・司法書士の強みを活かし、不動産のスペシャリストとして、また大家の視点から賃貸経営のアドバイスを行う。セミナー、講演多数。著書「税理士が教える節税Q&A」(共著)。「大家さんのための超簡単!青色申告」(共著)。「Q&A固定資産税は見直せる」(共著)。「行動する大家さんが本気で語る選ばれる不動産屋さん選ばれない不動産屋さん」(共著)
http://www.w-sogo.jp/
http://ameblo.jp/zeirishiohya/(ブログ)

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