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空室対策・リフォーム
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更新日 : 15/03/23

愛の満室経営セミナー③ケチケチ大家さんの悲劇

東京共同住宅協会 会長 谷崎憲一

 アパートの階段と外廊下が、腐食して落下…

3年前、あるアパートで大きな事故が起きました。
その大家さんが相談に来られ、「弁護士を紹介していただけないか」といわれました。
性格的にとても良い方だけに、どうされたのかと思い詳細を聞くと、アパートの2階部分の鉄製階段と外廊下が腐食して落下し、入居者が重傷を負い、半身不随に。何度お見舞いに行っても「来ないでほしい」と面会を拒否され、話は勤務先を通してほしいと告げられたといいます。
私は、事故のあったアパートを訪ねました。
まず驚いたのは、敷地の様子です。
身の丈ほどもある雑草が生い茂り、空き缶やゴミ袋が散乱。築30年という建物が、荒地のなかに佇んでいました。
建物全体はどす黒く汚れ、壁面には雨だれの跡がサビの筋となって地面まで届いています。
多分、建ててから全く手入れをしていなかったのでしょう。
問題があったのは鉄製の外階段と外廊下で、2階部分のほぼ半分が崩落。
剥げた鉄部の塗装を塗り直さずに放置していたため、腐食が進行して内部がぼろぼろになってしまったと思われます。

損害保険にも入っていなかった

そんな状態ですから、この物件は当然、入居率も非常に悪い状態でしたが、今回の件で逃げるように退去していく入居者が続出。
さらに、修繕中は仮住まいをしてもらう入居者もいて、大家さんはその家賃も支払わなくてはなりません。
おまけに、大家さんは保険料を節約しようと考えていたようで、損害保険にも入っていなかったのです。
入院中の入居者は後遺症が出るおそれもあり、病状が安定するまで請求額も確定しません。
ご本人にしてみれば、元気に働いてきて突然半身不随になったのですから、いくらお金を貰おうと取り返しのつかない悲劇です。
こうなった以上、大家さんにできるのは、ひたすら誠意を見せることだけです。

悲劇は、なぜ起きたのか?

この大家さんは、大切な資産の運用方法を間違ってしまったのです。
物件に手間をかけず、目先の修理費用や保険料を惜しんだために数千万、あるいは億単位になるかもしれない損害賠償に怯えるはめになったのです。
賃貸経営に必要なコストを惜しんだことで起きた悲劇といえます。
賃貸経営は、ご自身の建物を労わる気持ちを持つことがとても大事です。
子供の身なりや振る舞いを見れば親の愛情が見てとれるように、建物を見れば大家さんの愛情の有無が感じられるものです。
経営がうまくいかない大家さんに一番欠けているのは「愛情」だと私は思います。
その気持ちが建物の管理に現われ、入居者に建物を大切に使っていただくモチベーションにつながります。
きちんと管理しようと思わないのは、物件に愛情がないからです。
今回の大家さんの事故は、かけるべき修繕費を惜しみ、「もったいない」で済ませた結果といえます。

※リンク

愛の満室経営セミナー

①空室の原因と管理会社の関係
②土地活用は「結婚相手選び」と同じ
③ケチケチ大家さんの悲劇
④情に棹させば、失敗する
⑤賃貸経営は人生観を映す
⑥立ち退き交渉は、あくまで冷静に
⑦好立地でも、マーケティングは必須
⑧不動産で自分の仕事を潰すべからず
⑨セカンドオピニオンという選択
⑩パートナーという関係づくり
⑪ありがとう
⑫「思いやり」と「信頼」
⑬相続で引き継ぐべきこと

(プロフィール)
たにざき・けんいち 都内で唯一の地主さん・家主さんのための団体、「公益社団法人 東京共同住宅協会」会長。15年間の相談部長を経て現職に。東京都耐震化推進都民会議委員、福祉住宅研究会主宰、NPO法人賃貸経営110番顧問など幅広く活躍。厳しいなかにも人間味のある誠実なアドバイスが人気を呼んでいる。アパート・マンションなど自らも大家業を営む。

●オールアバウト(リンク)
●公益社団法人東京共同住宅協会(リンク)

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