LIXILリアルティ.comスマート不動産オーナーズ

原状回復・長期修繕
LINEで送る

更新日 : 14/08/21

地震から入居者と建物を守る②耐震方法と建物の寿命

小野富雄建築設計室代表 小野富雄

昭和56年以前の建物は、耐震診断を!

地震被害を受けるのは、築年数の経過した建物だけではありません。新耐震基準(昭和56年6月1日以降に着工)では、生命に危険を及ぼす被害が出ないように基準が定められていますが、大きな地震の場合は被害を免れることはできません。

東日本大震災でも、築2年ほどのマンションでも壁にひび割れが生じ、中の鉄筋がむき出しになったケースが見られました。このことからも、新耐震基準以前の建物は、すみやかに耐震診断を行なうことをおすすめします。

●さまざまな補強方法がある

補強方法にはさまざまなものがありますので、専門家と相談してご自分の物件に合った方法を選択してください。木造アパートで耐震診断をし、危険という判定が出た場合でも、屋根材を軽いものに葺き替えることで、安全性が確保された例もあります。耐震診断や耐震補強費用の一部を助成する自治体も多数ありますので、利用されるとよいでしょう。

●「耐震」「制振」「免震」は、どう違う?

地震対策は、大別すると「耐震」「制振」「免震」の3つの方法があります。

・耐震構造:建物の構造体を堅固にし、地震に踏ん張って耐えるように補強

・制振構造:地震力に対し、抑制方向に働く装置を設けて揺れを軽減

・免震構造:地震力が建物に伝わる手前でシャットアウト、あるいは低減

免震は多額の費用と工期を要するため、賃貸住宅の場合は、投資効率の点から「耐震」「制振」が現実的でしょう。

建物の寿命は、愛情で大きく差がつく

よく「木造住宅は30年の寿命だから、手をかけてはもったいない」、同様に鉄筋コンクリートも「50年の寿命だから」と言われます。しかし、木造で100年以上経っている建物は日本中に数多くあります。また、鉄筋コンクリートで最も古いアパートはパリにあり、100年以上経った現在でも人気です(鉄筋コンクリートの歴史は、まだ100年くらいです)。

このように建物の寿命は、所有者や利用者の使い方次第で大きく変わります。つまり「どれだけ持つか」ではなく「長く持たせるにはどうすればよいか」という考え方が重要です。建物は愛情を持って手をかけ育てていくことで長持ちするものだからです。

当然、賃貸住宅は長く持たせるほど事業効率が良くなります。その意味でも、耐震診断を行ない弱い部分を補強し、安全な建物に改修していく必要があります。

リンク

地震から入居者と建物を守る
その①「安全基準」の見直しが必須
その②耐震方法と建物の寿命
その③アパート・マンションの補強対策

プロフィール

おの・とみお 宮城県生まれ。関東学院大学工学部建築科卒業。小野富雄建築設計室代表。住宅、集合住宅、店舗、公共施設他の建築設計のほか賃貸住宅空室対策、大規模修繕なども行なう。東京都及び世田谷区・目黒区街づくり専門家登録。木造住宅耐震診断員。「水戸タウンハウス設計競技」(最優秀賞)他入賞多数。次世代にきれいな地球を引き継ぎ、地球への負担を少なくすることがモットー。『新しい住まいの設計・増改築全科』他著書多数。

ページの一番上へ